ペナルティ ページ4
上層部の死刑執行後、私の意識はどこまでも白く明るいバスターミナルにいた。
白の中で煌々と灯る電光掲示板には空港行きの文字が右から左に流れているがその文字は運行停止と続いていた。
2回目の呪術師としての死とは言えバスターミナルに寄ったのはこれが初めて。
転生後初めて死んだ時はそのまま母親の胎内に回帰したから今回もそうなると思っていた。
"こんにちは、川本A様"
急に目の前に現れたタブレット端末画面に打ち込まれた文章を理解するのに少し時間がかかった。
そこに打ち出されていた文字は明らかに私が転生する前まで使っていた馴染み深い名前。
今では誰も呼ぶことのない名前、この場所も意味が分からないけど、なんでこの無機物が私の名前を知っているんだ。
『ど、どうも……』
"(*´ω｀*)"
返事が嬉しかったのか顔文字まで出してきたタブレット端末。
"今回、前世から数えると3回目、呪術師として産まれてからは2回目の死を迎えられたことを心からお悔やみ申し上げます"
『はぁ……』
"つきましては、今回の処刑エンドに関するペナルティのご説明をさせていただきます"
『処刑エンドに関するペナルティ？』
"はい、川本様におかれましては我が主様に選ばれた回帰者の1人です。回帰者に選ばれた方々の目的はただ1つ、それぞれが納得出来るエンドを迎えることでございます"
『……目的が恐ろしくフワッとしてんな……つまり何？今回の処刑エンド？は私が納得してないからペナルティってこと？』
"はいそしていいえ、今回の処刑エンドに関するペナルティは我が主様も納得していないためのペナルティでございます"
『え、待って、ってことはその趣味の悪すぎるゴシュジン様も？私の最期に納得いかないから？私がペナルティ負うってこと？』
"そうなります"
気がついたらタブレットを引っ掴んで地面に叩きつけていた。
『ざけんじゃねえ!!💢なんでテメェの人生の最期納得してねえってなってテメェでペナルティ負わなきゃならねえんだよ!!』
すかさず別のタブレットが私の近くまで来て、以下の文章を打ち出してきた。
"ペナルティと言っても、そこまで重いものじゃない。軽い天与呪縛みたいなものだ。君も私も納得いかない。だからと言ってチート能力を施せばいいってもんでも無い。ペナルティの代わりと言ってはなんだけど、次の人生では九十九由基との出会いを少しずらすことが出来る、そこからは君の努力次第だけどね"
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作者名：いもけんぴ星人 | 作成日時：2024年2月8日 17時
