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撮影用のため、Aは先に部屋へと戻り、僕達はその場に残っていた。
さっき会ったばかりなのにもう会いたい気持ちが高まり、終わった後にすぐさまAの元へ向かうと、部屋の中にあるソファで眠っていた。
「A、撮影終わったよ。ここで寝てると風邪ひいちゃうよ」
肩を軽く揺すって声をかけてみるが、一向に目覚める気配がない。
「A…?」
ふと頭に嫌な考えがよぎった。
ー ねぇ、もしこのまま私が目覚めなくなっちゃったらどうする?
彼女はこうなることを予期していたのだろうか…?
「やだ、お願いA、目を覚まして…!!」
気が動転してしまい、ただただ泣きながらAを抱き抱えており、僕の泣き声で部屋に駆けつけたスタッフが救急車を呼んでくれるまで周りの音など耳に入らなかった。
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「あなたがチャンさんですか?」
「はい、そうです」
病院にAを連れて行くと、主治医だという人が僕の元へとやってきた。
「Aのことを好きになってくれてありがとう」
いきなりお礼を言われ、頭を下げられる。
何事かとびっくりしていると、彼はちゃんと説明するねと言いながら優しく微笑んだ。
「Aから家のことは聞いてるかな?」
「親が早くに亡くなったとだけ…
今一人暮らしをしてるんですよね?」
だから僕の両親はまるで実の娘のようにAのことを可愛がっていた。
「そう。本当は親戚が家に来るよう声を掛けたんだけど、Aが断ってね。この先何があるか分からない状態で世話になることを申し訳ないと思ったんだろう」
「あの、あなたは…」
「僕は幼馴染というか、お兄ちゃんみたいなものかな。家が近くて、Aが小さい頃からよく知ってる。本当の妹みたいに可愛がってたんだ」
「そうだったんですね」
そういえば、お兄ちゃんのような存在がいるから大丈夫だと以前Aが言っていたなと思い出す。この人のことだったのか。
「だからAの性格はよく理解しているつもり。どうせあの子のことだから君に言ってなかったんでしょう?病気が悪化してるって」
「え…」
「徐々に悪化して眠る時間が長くなってきててね、一日丸々眠ってしまうこともあったんだ」
「だからあの時…」
彼女は、いつか自分が目覚めなくなってしまう日が来るかもしれないと思ったのだろう。だからあんなことを言ったのだ。それなのに、何も気付いてあげられなかった…
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Re:(プロフ) - ただの専門学校生。さん» わぁぁ!!ありがとうございます…!! おそらく無事に(?)作成できたと思います!!丁寧に教えてくださって感謝です;; 嬉しいお言葉もありがとうございますㅠㅠ (2022年4月15日 17時) (レス) id: 320fdc4232 (このIDを非表示/違反報告)
ただの専門学校生。(プロフ) - アンケート作るの、特に難しいことはないので簡単に作れます! (2022年4月15日 12時) (レス) id: ca3a9bdb52 (このIDを非表示/違反報告)
ただの専門学校生。(プロフ) - はじめまして!更新楽しみにしておりました、今までのお話し全部好きです!アンケートは作品を作る画面に、アンケートメーカーっていうのがあるのでそれでできますよ!!あと3人も楽しみです〜! (2022年4月15日 12時) (レス) @page28 id: ca3a9bdb52 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Re: | 作成日時:2022年3月1日 19時