どうか夢なら醒めないで

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なんて思ってた私が馬鹿だったのかもしれない。

あれから数週間経ったが、一向に元の世界に戻れる気配がしない。


私の両親はすでに亡くなっているらしく、見知らぬおばさんは父の再婚相手だったらしい。ナヨンさんはそのおばさんが連れてきた子、つまり私とは血が繋がっていない姉妹にあたるそうだ。

そしてここの御屋敷は元々私と両親が住んでいた場所らしいが、父が亡くなってからはおばさんとナヨンさんが好き勝手使っているらしい。物語と同じように私の部屋は屋根裏部屋。たくさん部屋があり、住んでいるのは3人だけなのに私なんかには使わせたくないそうだ。…父が亡くなった今、私の家になるはずなのに。

父が亡くなり財力が低下してしまった彼女達がこの御屋敷を欲しがるのも当然だろう。使用人を雇う余裕は無いため、私が雑用をやらされているが。


ここまで物語が同じだとは思わず、会社での扱いに慣れていたはずなのにまた心が荒んでいきそうだ。



唯一の癒しといえば私に懐いてくれている2匹のネズミ。

もちろんネズミ語なんて知らないから話していることは分からないが、私がこき使われている姿を知っていて慰めようとしてくれているのが伝わってくる。




今日も部屋に戻って疲れた身体をベッドに預けていると2匹のネズミが近づいて来た。




『また来てくれたの？スングァナ、チャニ』


SG&DN「チュウ！！」


2匹揃って手を挙げている姿がとても可愛らしい。

丸々としていて食いしん坊なネズミがスングァン。小さくてよくスングァンに突っかかっているのがチャン。

どちらも私が付けた名前だが本人達も気に入ってくれているらしく、名前を呼ぶと近づいてきてくれる。


『今日はね、こんな事があったのよ。酷いでしょう？』

いつものように今日あったことを話す。2匹とも私の話をよく聞いてくれてて、頷いたり反応したりしてくれるため話し相手が出来たことに嬉しくなる。


窓の外を見ると、とても綺麗な月が出ていた。


『明日こそ元の世界に戻れますように…』


叶うか分からない願いを今日も零す。


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