お願いポリスマン【d!】

◇ ページ15

トントンさんから渡された手紙の封筒には､相変わらず少し読みづらいガサツな文字でシャオロンと書いてあった｡
コイツから手紙とかろくな事無いなぁ…とため息をつき封筒を開けると､そこにはぐしゃぐしゃになった便箋｡


｢誰からなんだ？｣
｢5番目の元彼｣


5番目の元彼の元彼､シャオロン。
正直に言って彼と付き合ってた時期はいい思い出があまりないと言うか……まぁ､どの元彼ともいい思い出は無いんだけど｡

メッセージを直ぐに返さないと心配されて鬼電され､電話は3コール以内に出ないと家まで押し込んできて号泣｡
あまり手料理が得意ではないけど記念日だからと作った料理には多分だけど体液みたいなのが入っていて私が食べる度にニコニコ笑っていた。
別れようと言ったら人通りが多いところで号泣し､俺が死んでもええの？と脅してきたやばい男。

死んでは欲しくなかったけど手を差し伸べたら何時まで経っても逃げられないと思い逃げてそれ以降音沙汰もなしだった。
なのに今になって手紙って…､てかなんで私の住所知ってるんだろう？

ぐしゃぐしゃの便箋を見れば､そこには血のように赤いインクで『俺はまだ好きやからな』と書いてあった。
他にもなんか書いてるけど､私はそれだけを見てトントンさんに渡す。


｢それ､燃やしておいてください｣
｢Aさんが言うんやったら！｣


私の言うこと何でも聞いてくれるあたり､案外ストーカーは扱いやすいのかもしれない。

そう考えてるのがわかるのか､可愛い弟は隣で騙されるな姉さん！と私に抱きついてくる｡
弟､抱きついてくるのは構わないけど力加減を覚えて欲しいな｡可愛いからいいけど｡


｢にしても､5番目の元彼が今になって手紙寄越すなんて変わった人やな｣
｢手紙にまだ好きって書いてたからまたより戻したいんじゃない？｣
｢あー…手紙送って自分の存在を思い出させる手口か｣


そんな手口を使っても私はもうシャオロンをそういう目で見れないし､正直怖すぎてもう付き合いたくないかな｡
手紙送ってきたということは､案外近くに居るってことだし気をつけないと｡

結構怖いかもしれないと思っていると､それに気づいたのかトントンさんがぎゅっと私の手を握る。


｢俺が守るんで､安心してください｣


ストーカーのくせに､カッコイイな。
ちょっとだけドキドキしたのは内緒にしておく。

3『元彼と同僚』→←◇

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