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夜になるまでソワソワした気分のまま家の中で過ごした｡
夕方に｢今日は海に行かないの？｣と母に聞かれて､今日は夜に行くと伝えると少し不安そうな表情を浮かべられた｡
すぐに帰ってくることと､帰る時は電話をしながら帰ってくることを約束して時が刻まれるのをチクタク動く時計を見ながら過ごす｡
｢お父さんには内緒にしておくから気にしないでいいわよ｡でも､早く帰ってきなさいね｣
声が出ないだけで､一応私も18歳なんだけどなぁ｡
そう思っていても母には伝わらなかったのか､頷く私に満足げな笑みを浮かべる母に心の中でため息をついた｡
早く､会いたい｡
目を閉じれば､鮮明に昨日の海が広がっていた｡
＿＿＿
父がお風呂に入っている隙にこっそりと外に出て､薄暗い中海に向かう｡
夜遅くという訳でもないけど､人の気配はなく静かな街並みはちょっと不思議な感じ。
スマホのライトで足元を照らしながら歩いていると､目的地である海に着いた｡
ぴゅうっと吹く風が冷たくて思わず身震いをしてしまう｡
ザクザク音を立てて砂浜を歩く｡
夜に来てと言われたけど､この時間帯で合ってたのかな｡
夜だし無闇矢鱈に動くのをやめて､大きな岩に座り靴下を脱いでさらけだした足を海につける｡
冷たくて体の体温が一気に下がった様な感覚になったけど､どこか気持ちよくて水面から足を出さずにいた｡
早く会いたい｡
音が出ない溜息をつけば､冷たい何かがうなじにぴとっと当たり､思わず身震いをしてしまう｡
振り向くとそこには､楽しそうに笑っている深海くんがいた｡
｢こんばんは｣
深海くんは私に掌を差し出し､私はそこに『こんばんは』と書くと､またもふふっと可愛らしい笑みを浮かべる｡
私の隣に座り､さむくないんですか？と私の足を指さす｡
『寒い』と素直に書けば､心配してくれたのか軽くチョップをされる｡
軽くてもちょっと痛くて､意外と力強いんだなぁって｡
｢かぜひいちゃいますよ｣
『うん』
｢にんぎょひめさんがかぜをひいたら『かなしい』です｣
何で？
そう書く前に､深海くんは私の手をぎゅっと握った｡
空いてる方の手で､まるで壊れそうなものを触れるような優しく撫でてきて､思わず熱が集まる｡
｢まいにちあいたいです｡にんぎょひめさんもおなじ『きもち』ですか？｣
『うん』
音の無い返事｡
なのに､この静かな海で響いてるような気がした｡
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むに - めちゃくちゃ良かったです！ ただ、あんのてい？って書いてあったところが誤字なのかなぁと気になってしまいました…。多分案の定(あんのじょう)と書かれたかったのかなと…、作品はとても素敵でした！ (4月29日 5時) (
レス) @page14 id: 624c087a05 (このIDを非表示/違反報告)
薔薇(林檎飴)(プロフ) - ぷかちゃん最推しなのでこういう作品本当にありがてぇ…可愛いです… (2020年10月11日 0時) (レス) id: 1b3bd211bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rice | 作成日時：2020年10月4日 17時
