【STORY.32†[EPISODE.ONE*記憶]】 ページ12
…あの頃は、ただ体が弱かっただけの、ごく普通の子供だった。
「おにいちゃん…わたしも、サッカーしたい…」
「ダメだよ琴音。今日は見てるだけってやくそくだろ?」
「…そ…だけど…。…げほっ」
「あぁほら…。…やっぱり家に戻ろう?」
今思うと…私が男装したがった理由っていうのも、ここからだったのかもしれない。
「…ごめん優一、またあとで」
「大丈夫、ちゃんと待ってる。なぁ京介」
「うん!」
「…いいな、…わたしも、おとこのこだったら…つよかったのかな…」
「…うーん。どうなんだろう…?」
私が四歳の誕生日を迎えて間もない頃。…それが、私が「普通」でいれた時間。
今も頭につけてる白い花の形をした髪飾りを誕生日プレゼントとして貰った数日後のこと。この日は、体調が良くて、こっそりと屋敷を抜け出して…サッカーボールを持って、いつもの公園に行った。
「えっと…こう、だっけ?」
幼い頭の中を探って、皆がいつもどうやってるのかを思い出そうとする。でも、うまくできない。それが当然、だってそれが初めてボールを蹴ったんだから…。
「…うーん?…どうやったら、できるかな…。…うーんと、えい!…あれ?」
当然コントロールなんて上手く出来る筈がなくて、ボールが予想外の方向へ飛んで行った。
だけど…。
「…いたっ!?」
「…えっ?」
飛んでいった方向に人がいた。がさがさと茂みから出てきたのは、男の子。
「…だ、だいじょうぶ?」
「…うん。…って、そうだ!」
「?」
急に何かを思い出したらしく、慌てた顔で私に尋ねる。
「あのっ!け、警察署がどこか知ってる!?」
「…ケイサツショ?」
「あ、えっと…じゃ、じゃあ大人の人が──」
その時だった。後ろから足音がして振り返ってみたら、黒い服装の大人達がいた。
「…に、逃げて!」
「?」
どうしてそう言ったのか分からなかった。…いえ、分かったとしても逃げられなかったと思う。
「…琴音ー!…どこ行ったんだろ…。…あれ?これ…僕の…」
「おにいちゃーん!」
「琴音?…!?」
「この子は関係ないだろ!…はなせーっ!」
「…まて!琴音をかえ…!」
「おにいちゃん!…おにいちゃーん!」
私を追いかけようとしたお兄様が目の前で倒れた。私はそのまま、車に連れて行かれた。
何が何だか分からなくて、幼い頭が追い付かなかった。
【STORY.33†[EPISODE.TWO*五人の子供達]】→←【STORY.31†ウタヒメの怒り】
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした!
「イナズマイレブン」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:睦月火蓮 | 作成日時:2015年4月19日 23時