アメジストを守る黒曜石 Ⅱ (ページ6)

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第50話かめらページ6

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俺とママが会話してる間に、エマ達はシスターに脱獄(こ)のことがバレたらしい。

けど、シスターは俺達を捕まえるどころか手を組もうと提案し、欲しい情報はなんでもあげると言ってきたと言う。

ノーマンとエマがシスターの部屋に行っている間、俺はママの部屋に行き、“最後の報酬”を受け取っていた。

「最後の報酬がカメラ……ね」

「写真って現象に興味があったんだ」

生まれて初めて手にとる“カメラ”。

本で見たことは何度もあった。構造も知っている。

けど、実物を見るのは今日が初めて。

思ったより意外と重いんだな。

「ママ」

「……？」

ママがこっちを見たタイミングでシャッターを切った。

パシャッと言う音と共にストロボが光り、そして下の細い穴から紙が一枚出てくる。

特に写ってない、一見ただの少し硬い紙。

すると、その紙の中にママの姿がジワジワと現れた。

写真の中のママはさっきのポーズをしたまま動かず止まっている。

これが写真……すげぇ。

「本当に時間を切り取ったみたいだ……」

ただのパーツの1つとしか思ってなかったが、いつの間にか俺はカメラの魅力に取り憑かれていた。

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「ん～……急にどうしたの……」

「ちょっとな、試したいことがあって」

「？？？」

一旦部屋に戻った俺は既に寝てたAを叩き起した。

さっき受け取ったカメラを持って外に出れば、空には無数の星と雲に隠れた三日月が浮かんでる。

「こんなことして……ママに怒られるよ……？」

「その時はその時。お前も道連れにする」

「最低……」

鍵はかかってたけどピッキングしてやった。

別に音立てたりしなきゃバレないだろうと踏んでるから別に怖くない。

眠気と俺への怒りで機嫌の悪いAを森側に立たせてカメラを構える。

すると、木々が音を立てる程の風が吹いた。

風はAの長い髪をなびかせる。

雲に覆われた月が姿を現し、Aにスポットを当てた。

それは、息を呑む光景だった。

月明かりに照らされたAの姿は、まるで月に還ろうとするかぐや姫のようで。

────綺麗

その感動を忘れぬよう、俺はカメラのシャッターを切った。