アメジストを守る黒曜石 Ⅱ (ページ18)

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第62話ふりページ18

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まだ1日ある…………。

ノーマンの“出荷”、明日の夜までに逃がしゃいい。

けど問題は“ヤツ自身が逃げない”ってことだ。

ノーマンの性格上、その先の俺たちを心配して逃げないんだ。

なら俺たちが無理矢理でもノーマンを逃がしてやるさ。

「話がある…………ノーマン」

医務室でエマと2人で話してたことを伝えた。

ノーマンを明日の昼1人で逃げる……“フリ”をしてエマの足が治るまで敷地内に潜伏し、俺たちの決行日に一緒に逃げる。

それまでノーマンは“いない人間”になってるわけだから下見もし放題、出た後で合流どうするって問題もない。

ここまで聞いて警備が厳しくなることを不安がってるノーマンだが、それも問題ない。

この農園(ハウス)の飼育方針から言って、鬼が姿を見せて恐怖で支配したり、俺達を強い規則で縛りあげて不穏な逃亡対策をとることはできないから。

「警備変えるとすりゃせいぜい、見回りや飼育員の増員。その程度どうにでもできる……いや、する！！」

「……………………」

ここまで説明してもノーマンは満足の顔なんてしない。それどころか。

「……それでもわずかでもロープで上れない高さにされたら？」

「お前が隠れて梯子でもつくっときゃいいだろ！」

「発信器をより高性能のものに変えられたら？」

「新たに埋められても次は最初から場所がわかっている！取り出せばいい！！わかるだろ！！いちいち聞くんじゃねぇ！！！」

無駄な質問ばかり。

ウダウダしてるノーマンに怒りさえ覚え、俺の頭にも血が上ってきた。

「とにかくお前が死ぬこたないんだよ！！出荷されるしかねぇなんてまやかしだ！！」

食料は手配する。

潜伏は絶対に隠し通す！

多少の警備は何とかなる！

────ママを出し抜く奥の手も俺はまだ持ってる！

「だから生きろ！逃げたフリしてこの方法で──」

「だめだよ」

「なっ……！！」

「……できない。だめなんだ────」