アメジストを守る黒曜石 Ⅱ (ページ2)

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第46話やくざいページ2

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11月1日水曜日。
脱獄決行まで、１週間。

「あの“ノーマン”とケンカ……ね」

「ちょっとした方針の違いでね」

ノーマンとエマが「下見」をしている間に、オレはママを足止めし、発信器を確認させない状況を作りだす。

「それで？話って？」

“偽”の情報を流すんだ。

「ノーマンがママを殺そうとしている」

適当にガセを流しておけば、ママはそっちに気を取られる。

これでいい。一瞬ママが動揺した。

「────まぁ、想定の範囲内ね。 “全員”で逃げるとなればそうも考えるでしょう」

けど、すぐに冷静さを取り戻すママはさすがとしか言えなかった。

「それで？」

「道具を集めてる。金槌、洗剤、除草剤……他にも使えそうな物片っ端から」

自分の命が狙われてるというのにこの余裕。

────本物の化け物だ

「オレは止めたんだぜ？ヤバすぎる、間違ってるって」

「それでそのザマ」

深夜にAが貼ってくれた大きな絆創膏を見てクスッと笑ったママだったが、その笑顔は一瞬で消え去った。

「毒殺……薬剤が厄介ね」

顎に手を添え、さっきの笑みとは裏腹に冷酷な顔で対処法を考えるママ。

そんなママにオレは────

「途中出荷なんてごめんだ」

「あいつらには12歳(さいご)まで生きてほしい。何不自由ない温室(ハウス)で」

「だからすり替えようぜ薬剤を…… 中身偽物に！」

とことん、騙す。

ここから“逃がす”為ならなんだってしてやるさ。

頬に貼られた絆創膏に触れて昨日のことを思いだす。

まず思い浮かんだのは“アイツ”の顔だった。

今日は11月1日。

オレ達の12歳の誕生日まで、後2ヶ月とちょい。

もう少しだ。

もう少しで、こんな生活からおさらばできる。

「場所は判っているの？」

「ああ」

「では、明日にでも対処しましょう」

よし。これで明日の下見の時間を稼げる。

────耐えろ、耐えるんだ

“オレ達の幸せ”は、もうすぐそこに────

(報告は以上？)
(……ああ。他に何か気になることでも？)
(いいえ……。そうだ──)