Story6 クリスと、トラッド ページ6
バ「予定よりちょっと遅れたけど、今ついたよ」
貴「ちょっとどころじゃない気がするが。……すいません、丸一日遅刻してしまって」
？「遅刻するにも程がある」
その剣幕に、蒼井はごめん、と一言頭を下げた。
そうだよね、すいません。
なにしろスカウトしてくれたのはオーナーのクリスさんなのだから。遅刻すればクビは確定かも。
バ「で、誰?」
貴「失礼にも程がある」
キ「この人はチーム専属のベイトレーナー、トラッド・バスケス」
貴「よろしくお願いします、バスケスさん。……ところで何故それを知ってるの? キット」
聞いてみれば、オーナーの人がキットを呼んだ。
オ「貴方が迎えにいったんでしょ? なんでこんなに遅れたの?」
貴「それはさきほど連絡した通りです」
バ「え? ……A、キット、オーナーとも知り合い?」
その質問にキットはまぁ、うんと曖昧に答え、誤魔化すように背をむけた。
オ「キット・ロベスは、うちのブレーダーよ。育成枠のジュニアチームだけど」
貴「僕は一応戸籍上ではBCソル所属。クリスさんとも何回かやりとりしたからね」
クリスさんは溜め息をつき、「貴方に頼んだ私も悪かったわ。今回は許します」と言った。
それにキットが、よかったと呟いたことは僕はききのがしていない。
ク「私はこのチームのオーナー、クリスティーナ・クロダよ。クリスって呼んで」
クリスさんは蒼井に手を差し伸べた。蒼井はその手をしっかりと握り、宜しくと言った。
ク「でも遅刻はダメ。ペナルティとして、貴方には入団テストを受けてもらうことにします」
バ/貴「入団テストォ!?」
ト「ちょうどこれから入団希望者のテストがある」
バ「えーっ、オレ、テストとか勉強とか苦手だから……」
蒼井があたふたしていると、キットが「そういうテストじゃなくて、ベイバトルだよー」と突っ込んだ。
それを聞いた蒼井はぱっと顔をかがやかせた。
バ「それなら大丈夫、はやく言ってくれ!」
ク「自信はあるのね」
クリスさんが言うと、蒼井はそれにちゃんと頷き、ゾロさんに別れを告げようとしたが、
バ「……あれ?」
貴「ゾロさん?」
本当、神出鬼没なんだから。
それから僕らは、クリスさん達に寮とクラブハウスを案内していただいた。キットの、「元々はクリスのご先祖が住んでたんだって」発言には驚いた。
ト「うちのほとんどのブレーダーは、ここでくらしている」
貴「そうなんですか」
そして練習場に入り、入団テストへ――。
Story7 入団テスト、再会→←Story5 BCソルにて、トラブル。
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