Story31 負けたら楽しくない? ページ31
ｾﾆ「これでゲームカウントは2対1。BCソル、トップヴァントにリードを許した。果たして、次のゲームで勝負がついてしまうのか!?」
ランチャーを支える手がぶれていた。やはりあのグリップ、試合で使うには少し早すぎたようだ。
乱「……すまね。オレ、調子に乗ってた」
フリーがクミチョーに、「負けると楽しくないよね?」と問うと、クミチョーは「あったりめぇだっ」と返した。
フ「なら、勝たなきゃ」
負けると楽しくない、か。
それじゃあ、ベイは勝つから楽しい? 負けたら、楽しくない?
貴「勝利というものは、敗北と失敗の積み重ねの結晶だけど」
フ「でもキミも、負けたら楽しくないよね」
口調からして否定を認めない肯定文のようなその言葉に、僕は苦笑をこぼすしかなかった。
フリーはまたすくっと立ち、エントリーした。次はフリーが行くようだ。
実況はフリーが出場すると分かると、「キタキタキターッ!!」と感情の昂りをストレートに表に出した。
ｾﾆ「BCソル、第4ゲームはエースのフリーが出るぞ!
トップヴァントからはこちらもエースだ。クーザの登場だぜィ」
ク「ワールドランキングのトップを倒す。なーんか、ワクワクしたきたなァ」
スタジアムは、フリーとクーザへの応援が入り雑じっている。正直、クーザも人気高いんだなと改めて思った。
クーザの肩にのったカールが「ワクワクシテキタナ」とリピートすると、ぶわりと天井に舞い上がった。
その絹色の羽が羽ばたきと共に落ちていく。
ク「流石BCソルのオーナー。今はおめぇへの応援がいっぱいだけど、このバトルの後はきっと全部オイラの応援になるよ」
クーザの挑発に対し、フリーは「ならない」とだけ返し、集中力を高める為か、目をつむった。
フ「……さぁ、やろう」
審「第4ゲーム、ファーストバトル。
レディセット」
全「3,2,1,GOシュート!!」
ｾﾆ「ドレインファブニル今度も音をたてないエレガントなランディングだが! どうしたことか、回転が遅いぞー!?」
貴「わざと、だな」
乱「オレ達がやられた、アレだ」
バ「始まるぜ……!」
ファブニルはクロノスがアタックしてくる度に回転を吸収し、
ク「突っ込め、クロノス。スライドオンシュート!」
ｾﾆ「アルタークロノスの速攻〜! 重心の偏りが起こす強烈なブレを使った攻撃。
しかし、しかし、しーかし! ファブニルアタックを受ける度力強くなっていくぞー」
すると勝てると確信したのか、フリーが余裕そうな笑みを浮かべた。
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