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「……ねえ、電気つけないの？ 早く食いたいんだけど」
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うん、って可愛らしい笑顔でぱたぱた駆けていく後ろ姿。
パチンという音と共に、薄暗かった部屋が一気に光を取り戻す。
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そういえばまだ昼過ぎだったな、とカーテンを開けたらもっと部屋が明るくなった。
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「あれ？ 電気要らないね」
「そうだな」
そしてまたパチン。と遠くで音がする。
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慌ただしい様子で包丁を持ち出してケーキを切り分ける。
危なっかしくて冷や冷やしたけど、そういえば去年も同じだって思い出したらちょっと笑えた。
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「なんかサイズバラバラじゃね？」
「えー？ そんなことないよー」
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少しばかり大きさがばらばらなチョコケーキ。
苺が5つしかなかったから、無理矢理5等分。
どうりで歪になるわけだ。
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「どれがいいー？」
「どれでもいい」
「どれがいい？」
「どれでもいいっつってんじゃん！」
「私だってどれだっていいよ！」
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くだらない、ガキみたいな言い合い。
ほぼ同時に吹き出しちゃって、結局結論はナシ。
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「じゃあこれね」
「ああ……ってなんかそれ一番でかくない？」
「当たり前じゃん。今日潤の誕生日なんだから。3つ食べてね？」
「んな一気に食えないよ……」
「大丈夫。夕飯のあとで食べればいいよ」
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何でもないような顔して、一番小さいの取りやがった。
いや……それでいい。いくらだって食ってやる。
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作者名：義経櫻 | 作成日時：2015年6月13日 23時
