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「潤……ごめんね。プレゼント用意できてなくて」
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ごめん、と言われて一瞬怯みそうになった。
バクバクと動きが早まる心臓。
安心して、息を吐きながら緩んでしまった腕の力をまた強める。
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「プレゼントなんてさ……要らないんだけど」
「でもね？ 毎年潤にちゃんと貰ってるから渡したいんだけど……」
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何をあげたら喜んでくれるか分からない、とぼそり。
だから、ここにいてくれるだけで十分なのに。
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俺の方こそ、どうやって伝えればそのことを分かってくれるか分からない。
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「あのさ、」
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俺が切り出したと同時に、もぞもぞ動き出したA。
しばらく抱き締めていたから少し暑くなってきて、腕を離した。
すとんと左肩に落ちてきたAの頭。
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つやつやの髪を掬うようにして撫でると、いつもの花の匂いが漂った。
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「俺にとっては、Aがこうやっていつも隣にいてくれることがすっげえプレゼントなんだけど」
「え……？」
「当たり前みたいだけどさ。こうやって毎年祝ってくれるだけで嬉しいっつーか」
「……、うん」
「どうせプレゼント貰うなら、目に見えないようなものの方がずっと嬉しい」
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これじゃまだ遠回しすぎたか？
そう思ったけど、腕に鼻を押しつけてきたから……きっと分かったんだろう。
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ちょっと照れたときによくする仕種だ。
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作者名：義経櫻 | 作成日時：2015年6月13日 23時
