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「ハッピーバースデー！」
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何故かAの右手首に巻かれたピンクのリボン。
綺麗にチョコクリームでコーティングされたケーキが俺の目の前に差し出される。
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「……あ、りがと」
「それだけ？」
「え？ それだけ？ 何、」
「んーん、何でもない」
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ぎゅーっと俺を押しのけるように、隣に座ってくる。
無邪気な瞳で、容赦なくチョコケーキにろうそくをブスブスさしていく。
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「今年いくつだっけ」
「32？ じゃね？」
「潤も……オジサンになったね」
「オジサンって。もうちょっと言葉選んでよ」
「え……だって他になんかある？」
「つーか30代でオジサンなら、Aもオバサンな？」
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クスクス。クスクス。
笑いながら立てられた、ろうそく5本。
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長いろうそく3本と、短いろうそく2本、バランスよく立っている。
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徐に取り出したチャッカマンで、火を点そうとするけど。
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「……かった。何これ。全然火つかないんだけど！」
うんうん唸りながら必死に火をつけようとする。
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でも力が足りないみたいで。一瞬も火が出る様子がない。
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「潤。点けて」
「なんでだよ(笑)。自分の誕生日に自分でつけたろうそく消すの？」
「お願いー……無理。点かない。じゃあエアーでどうぞ」
「その方がやだわ」
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ふざけて言うAの手からそれを取って一つずつ、火をつけていく。
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作者名：義経櫻 | 作成日時：2015年6月13日 23時
