2* ページ12
「ここ、寝癖ついてるよ。誕生日なのに」
「誕生日……おれもまた一つ年食うのか」
「やめてよ、私ももうすぐ誕生日なのに。同い年なんだから、私に言ってるようなもんだからね？」
「あーすまんすまん」
「謝る気ないでしょ」
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それこそ、怒る気もないAの唇に自分の唇を落とした。
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俺の乾いた唇に、甘くてぼんやりした香りが広がる。
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ほんの一瞬だけのキスは、するたびいつもくすぐったい感じがして、離れると目を合わせにくい。
だって視線がぶつかればきっと、何度も絶えることないキスを落としてしまうから。
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「……お誕生日おめでと」
「ありがとう」
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俺の寝癖をずっと撫でながら笑ったAの笑顔が近くて、嬉しくて、俺もつられた。
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「今起きたばっかりだから……うん。さすがにきついよね、甘いものは」
「……ん？」
「どうやって冷やしとこうかなあ。ラップ掛けたら潰れるし」
「今食うんじゃねえの？」
「無理だって。私もさっき朝食べたばっかりでお腹いっぱい。
あ、何か食べる？ パンぐらいしかないけど」
「……うん。お願い」
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何が嬉しいのか知らないけど、にこにこしているAを見ると幸せな気分になる。
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.
手際よく用意されたコーヒーを押し付けられ、早く出ていけと促される。
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お世辞にも広いと言えないキッチンに二人で
立ちながら飯の用意も悪くはないけど、どうも俺は邪魔らしい。
3*→←○*いつまでも聴かせてその歌を*○ 【*S.O＊BD*】
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作者名：義経櫻 | 作成日時：2015年6月13日 23時
