◆バースデー・キス◆ 【*ars・BD*】 (ページ2)

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○あなたにチョコケーキ○　【J.M＊BD】ページ2

キス。で目覚めた。

……いや、あたりに充満する甘ったるい香りに起こされた。

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「潤ー朝だよー」

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エプロンをしたAが、俺に影をつくる。

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蛍光灯の光が邪魔で、暗くて、愛しい顔が見えない。

見えないけれど……そこに微笑んで座っているんだなあとぼんやり思う。

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力の入らない指先を持ち上げてAの頬をなぞる。

さらさらな柔肌。

ようやく目が冴えてきて、綺麗なAの瞳が髪の隙間から覗いた。

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でも、香りが俺を目覚めさせない。

この甘い匂いは……チョコか？

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「……おはよ」

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重たい体を起こして、Aを腕に抱き締める。と、俺の背中にも腕が回る。

いつもは花のような香りがする髪からも、チョコの匂い。

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目が覚めたところで、立ち上がって、水でも飲もうかとAの手を引きキッチンへ。

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――――ああ、これが原因か。

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湯煎されて溶かされたチョコレート。異様なほど甘ったるい匂い。

コップに水を注ぎつつ、何を作っているのかと気になって見つめてみる。

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チョコと……生クリーム。生チョコ？

そんな予測は、オーブンを見た瞬間に打ち消された。

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ケーキだ。