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無邪気な笑顔を見せられると、
今どうしようもなく滾っていた欲望も引け目を感じて静かに隠れていく。
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俺の膝から手を伸ばして、頬に触れる。
その光景に何だかデジャヴを感じてまたくすぐったい気持ちになる。
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「……あなた、俺の肩で寝たことなんてないくせに」
「だって翔ちゃんの肩の寝心地はよくなさそうじゃん。首凝りそう」
「だからって男のごつごつした足で寝るのもいかがなものだと思うけど」
「……嫌なの？」
「……どうだろうね」
「ふふ。翔ちゃん俺に嘘つけると思ってんの？」
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思ってないよ、と言いかけた声も呑み込まれる。
いっそ俺の不安も全部、飲み込んで消化してくれればいいのに。
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「ねえ翔ちゃん」
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不意に真面目そうな声色で俺を呼んで、
両手で壊れ物に触れるみたいに俺の頬を包む。
いつもより冷たい指先は何故かいつもより感情的なのに、
俺を見上げる双眸はどこか虚ろだった。
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「俺の小指、あげるよ」
「――え？」
「何なら腕1本、目玉1個でもあげる」
「ちょっ、いきなりどうしたの」
「あ、両方はだめだよ」
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そのまま両手が俺を引き寄せて無理に唇を重ね合わせる。
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ずっと前にこうしてキスしたとき、
君が「人工呼吸みたい」だと言って俺をからかったのをふと思い出した。
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「……智、」
「1個ずつならいいけど、両方あげちゃったら、翔ちゃんを感じられないから。それは無理」
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かさりとシーツが擦れる音。
起き上がったかと思えば今度は俺を押し倒す。
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「でも、おれの全部翔ちゃんのものにしていーよ」
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手を繋いで絡めて、視線を結んで、唇を本能に従って押し付け合う。
隠れていた俺の汚らわしい欲望も、引っ張りだされていく。
「だから――」
息継ぎするように言葉が紡がれる。
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「だからさ、……さよならだけはまだ、言わないで……」
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lemon lemon u - BLサイッコー♪───Ｏ（≧∇≦）Ｏ────♪ (2022年6月1日 21時) (
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作者名：*義経櫻* | 作成日時：2018年2月19日 18時
