僕と君の世界 (ページ29)

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「17歳は、まだまだ未来が変わりうるんだよ」

「何それ。まーくんは変わんねえの？」

「そうだね、もう、変われない」

「俺のことは好きじゃなくなったくせに」

「だから、好きだよ。心から愛してる」

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真面目な顔でそう言ってのける彼が憎い。

彼の言葉なんて信じられないけど、

どこかでその愛の囁きに歓喜している自分がいて虫唾が走る。

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「だったら、」

「だけど、“好き”だけじゃ割り切れないことも、あるんだよ」

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――いつも彼の笑顔から感じていた違和感は、諦観だったのか、と知る。

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彼の愛は偽物じゃない。

……だけど、本物というにはあまりにクリアすぎる。

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「まあとにかく、自分のことは大切にね」

「……まーくんが大切にしてくれりゃ、いいじゃん」

「俺は――だめ、だよ」

「なんで」

「なんでも。だめなものはだめ。理由なんて、ないよ」

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宥めるように「おやすみ」と優しい声が耳元をくすぐって、俺を抱き締める。

その手の優しいことには変わりないのに――ひどく虚しかった。

俺よりもずっと体温の高い腕の中のはずなのに、寒くてたまらなかった。

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雨音が深くなる。

愛されていることはわかっているはずなのに、不安は消えない。

少しでも爪を立てれば簡単に崩れ落ちてしまいそうな夜にしがみつくように、瞳を閉じる。

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だけど、眠りに落ちてしまったら、明日は二度とやってこないような気がしていた。

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・* End. *・