僕と君の世界 (ページ28)

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「ねえ」

溢れる欲望は、底を知らない。

「――抱いてよ」

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一瞬驚いたように目を丸めた彼は、そのまま困ったような微笑を見せる。

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「だめ」

「なんで？」

「智は、若いから」

「何その理由。ずりいじゃん、そんなのどうしようも……」

「そうだね、でもそれが大人の特権」

「……」

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境界線が、はっきりと見える。

俺がどんなに引っ掻き回しても歪むことのない、俺と彼との間に引かれたボーダーライン。

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「おとな、ってなんだよ」

「え？」

「俺とまーくんの何が違うわけ？生きてる年数がそんなに大事？

そ、やって俺のこと遠ざけようとしてるだけなんでしょ、」

「……違うよ、全部。全然違う」

「だからっ……」

「生きてる世界も、見てるものも全部、違うんだよ。わかって」

「なんだよそれ……俺が子供だっていいたいの」

「……そうかも、ね」

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そんな困った笑い顔すんな。

喉元でぐずぐずとわだかまった黒い感情を、飲み込む。

だけど表情まではさすがにごまかせなくて、苦虫を噛み潰したような“オトナ”の微笑を向けられる。

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