僕と君の世界 (ページ26)

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雨音がした。

窓の向こうで、雨粒が跳ねる音。

薄暗い部屋の、狭いベッドでふたり並んで寝ている。

一回り年上の彼のシャツの背中が、ひどく遠くに感じた。

せめて、こっちを向いて寝てくれればいいのに。

強引に貸してもらった彼のスウェットに身を包んだ俺は、その背をぼんやり眺めていた。

煙草嫌いの俺なのに、

彼の服からするヤニ臭い残り香さえも愛おしく思ってしまうのはおかしいのだろうか。

ほろ苦い香りをふたりで漂わせて、細長く開けた窓からする雨の匂いに目を瞑る。

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――彼と俺の間には、見えない張り詰めた一本の線がある。

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せっかく無理矢理お揃いにしたマグカップもタオルも、

俺は彼が使っているところを見たことがない。

それらが使われた形跡を調べる勇気だって、言わずもがな俺には、ない。

俺が高校生だから、と休日はともかく平日に泊まることを反対する彼を押し切って、

いくつもの夜を同じ布団の中で明かした。

本当は四六時中一緒にいたいくらい彼のことが好きだけど、

困ったように微笑まれるのが目に見えてそんなことは言えない。

もぞもぞと動いて彼の背にそっと頬を寄せると、起きていたのか彼がこちらを振り向く。

ふわりと甘い笑顔で髪を撫でられる。

心地よさに微睡んで、眠りに落ちないように必死に彼を見上げる。

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