僕と君の世界 (ページ23)

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金曜日の放課後はたびたび連れ出される。

なんてことない、

映画を見に行ったり彼の手料理を食べに行ったり、買い物に行ったり

だけど俺にとっては大ごとだった。

俺に触れないでほしい、いや触れてほしい。

目を合わせないでほしい、いや、合わせたい。

話しかけないでほしい、いや――。

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色んな欲望の狭間でもみくちゃにされる俺の心は露知らず、

自分のペースに俺を遠慮なく巻き込む彼が、心底憎たらしい。

憎らしさで、いっそ、嫌いになれたらいいのに。

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「これとこれならどっちがいいと思う？」

「あいっかわらず奇抜だよね」

「うっせー。どっち？」

「決められないなら両方買えばいいのに」

「悩んで選ぶから1着に愛着が湧くんだよ」

「へえ。じゃ、左」

「やっぱり？」

「なんで俺に訊いたのよ」

「友達の意見ってやっぱり重要じゃない？」

「友達、」

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気付かれないようにその言葉を反芻する。

彼の好意を踏みにじっているかのような罪悪感。

胸の中に一気に靄がかかって息苦しくなるけど、俺はそれを隠して笑う。

だってそうでもしないと――。

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「あ、でもニノは俺の特別だよ、親友っていえばいいのかな」

「っ……」

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ぐ、と喉の奥が熱い。

流すことを許されない涙と俺の気持ちと、全部を一気に飲み下す。

乾いた笑い声を返して、レジへと歩く後ろ姿をぼんやり見つめる。

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