僕と君の世界 (ページ14)

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家柄のいい、表面は優等生な坊ちゃんのあなたと、

モデルで金を稼いで軽そうに見られる俺と、

一体どうすれば人生が交わるのだろう。

事実もうそういう関係に落ち着いているのだから、

そんなことを考えるのは愚問以外の何物でもないのだけれど、

それでも時々ぼんやりすると考えてしまう。

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「――手伝ってやろうか？」

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あなたと初めて話したのは、

運悪く日直でクラスの提出物を出さなくちゃいけなくなった放課後だった。

遠慮もなく教卓にどんと乗せられたノートとプリントを、

名簿を横目に出席番号順に並べ替えていく。

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名前の前に番号も書いてくれればいいのに、

高校生とは気の利かないやつらばっかりで

番号ばかりか名前さえ書かずに出すやつもちらほらいる。

静かな教室でひとり苛ついていた時に現れたのが、あなただった。

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「え？」

「ほら、俺優等生だから困ってる人に貢献しとこうかと思って」

「……」

「んな目でみんなよ、俺だって好きで優等生してるわけじゃないんだけど」

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普段は人当たりが良くて、だからと言って誰かと群れたりすることもなく、

教師の間でも評判もいいあなたと、

クラスメイトなのに半年過ぎても話したことがなかった。

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「……ありがとう」

「恩はきっちり返せよ」

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本気にしか見えない、皮肉の滲んだ目で笑う。

容姿も頭脳もずば抜けていると、変な話噂程度には聞いていたけど、

こんな正面きって向かい合うのはこの日が初めてだった。

初日の自己紹介はしっかり聞いていたはずなのに、

あやふやに輪郭しか覚えていなかったとこに気付かされる。