僕と君の世界 (ページ2)

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「指切りげんまんってなんで“切る”か知ってる？」

「……」

「不思議だと思わない？約束なのに切っちまうんだよ(笑)」

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真っ白な日差しが眩しいお昼の裏庭。

庭でまったり昼ご飯、なんていう

風情のかけらも持ち合わせていない男子校の中で唯一、

俺たちが俺たちのままでいられる場所だ。

そんな誰もいない穏やかな場所のベンチで、俺の膝に頭を預けて目を細める君。

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「……知らないな」

「マジ？翔ちゃんでも知らないことってあんだね(笑)」

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ケタケタと笑って、骨ばっていてもどこかしなやかな指先を日に照らす。

君の目元に落ちる影さえ、どこか官能的でぐっと背中に力が入る。

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「江戸時代の花魁ってさ、惚れた男にマジで小指あげたらしいよ」

「……」

「約束破ったら指切って、１万回げんこつ、そんで極めつけに針を――」

「分かったからもういいよ」

「翔ちゃんのヘタレ(笑)」

「そういうあなたはどうしてそんなことを飄々と語れるの」

「んー……だって何となくその気持ちも、分かんべ」

「そう？」

「ふふ。翔ちゃんは分かんなくていいよ」

「どういう意味(笑)」

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ふ、と吐息をこぼして下から俺の頬を撫で上げる。

絶妙な軽いタッチに、

ここがむさくるしい男子校の裏庭だってことを一瞬忘れる。

このまま一生予鈴が鳴らなければいいのにと思う。

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