Astilbe 3 (ページ10)

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『きっとすごく寂しがっとる。聞かなくてもわかるんよ、大好きな孫のことやから。あの子がどれだけみんなを大切に思ってるかくらい。』

とうとうおばあちゃんの目から涙が溢れた。

大切なのに助けてあげられない悔しさをずっと感じていたのかな。

『きっとみんなにはすごく辛い思いをさせると思う、でも辰哉にはみんなが必要なんよ。』

『当たり前じゃん！おばあちゃん泣くなよ！心配しないでも今すぐあいつのとこ飛んでくわ！』

『私もっ、ふっかのそばにいるよ？』

「私も辰哉君に寄り添いたい、」

『ありがとなあほんまに、あの子はいいお友達を持ったわ、』

そんな私たちにおばあちゃんは安心したように目を細めて笑っていて、夢さんはずっと泣いていた。

全ての真実を知り部屋を飛び出した私たちは辰哉君の病院へ走った。

怖くないと言ったら嘘になる。

手は震えるし逃げ出したいし、信じたくもない。

でも今、私たちよりずっと怖い思いをしてひとりぼっちで怯えてる大切な人がいるから。

どうして気づいてあげられなかったんだろう、

辰哉君が死に怯えてるとき、苦しくてどうしようもないとき。

なんで大丈夫だよって抱きしめてあげられなかったんだろう、

走って病院に向かう間も後悔しか浮かんでこない。