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辰哉君のお母さんとお父さんは辰哉君の病気が原因で毎日のように喧嘩をしていたこと。
それが原因で離婚してしまい、辰哉君はお父さんに、夢さんはお母さんに引き取られ家族がバラバラになってしまったこと。
それは夢さんにとってあまりにも辛いことでつい辰哉君に酷い言葉をかけてしまったこと。
夢さんは今でもそのことをずっと後悔していて、高校卒業を機にこっちで仕事に就いたこと。
おばあちゃんを病院近くの自分の家に住まわせて影でサポートしていること。
全てを聞かせてくれた。
『私が病気の辰哉なんて大嫌いって言ったから、みんなにも怖くて言えなかったんだ、』
辰哉君は自分のせいでバラバラになっていく家族を見て何を思ってたのかな、
『ふっかは助かるんだろ!?死んだり、しないんだろ、?』
震える声でおばあちゃんに尋ねる渡辺君。
『ドナーさえ見つかれば可能性はある、けどそれを十六年待ってる状態でな。このままの状態が続くようなら辰哉の心臓は持たんかもしれん。余命宣告って、言うんかな。』
余命宣告、その言葉が重くのしかかる。
『仮にドナーが見つかっても、あの子の体が移植手術に耐えれるのかも今は、』
おばあちゃんだって本当はこんなこと言いたくない。
それでも声を震わせながら私たちにありのままのことを話すのはきっと、
『あの子のそばに、ずっとおってくれんかな、?』
そんな思いがあるから。
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作者名:てぃら | 作成日時:2022年9月9日 19時