Astilbe 3 (ページ7)

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私が「どうしたの？」と聞いても『大丈夫』『何でもないよ』が口癖で。

その優しい声は私にいろんなことを教えてくれたけど、私を悲しませるようなことは絶対に聞かせようとはしなかった。

そんな辰哉君の裏側に隠された思いをいったい誰が知ることができたのだろう、

『辰哉は生まれつき心臓が悪くて、小さい頃からずっと入退院を繰り返してて、』

静かな部屋でおばあちゃんが私たちに聞かせる真実。

私たちはただ黙ってそれを聞いていた。

『高校二年生になってからはますます病状が悪化して去年も何度か入院しとった、』

『ギリギリまで学校に通いたかったみたいやけど、冬休みに入ってすぐ倒れてそれからずっと入院しとる。退院のめどもついとらん。』

『正直あの子の体はもうギリギリの状態なんや。先生にはいつその時が来てもおかしくないって。覚悟しておいた方が良いって言われとって。』

『辰哉にとって明日がくるのはもう奇跡みたいな状態なんや、』

まさかそんなこと聞かされるなんて予想すらしていなかった。

今までずっと辰哉君が見ていた怖いものすべてを知らずに笑って過ごしてた。

思い返せば、初めて二人が出会ったのは病院のすぐそばだった。

何でこんなところにいるのかなんて考えたことなかった、

今辰哉君はきっと、あの病院にいる。