Astilbe 3 (ページ5)

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『ここだ、ここの三○六号室。』

たどり着いたのは小さなマンションだった。

私はこの辺りをよく知っている。

あの河原の近くだから、

渡辺君が緊張した様子でインターホンを押す。

すると中から綺麗な黒髪の女性が出てきた。

『な、何の用ですか？』

いきなり訪ねてきた私たちを見るからに警戒していた。

『渡辺斗真って知ってますか？俺そいつの弟です。』

『え、斗真の弟！？でも斗真の弟くんが私に何の用、？』

『俺ら話があってきたんです。』

何が何だかわからない様子の女の人に渡辺君は真剣な顔で言った。

『とりあえず中へ、どうぞ』

その表情に押されたのか戸惑いながらも私たち三人を家に入れてくれた。

そしてリビングで思いもよらない人と対面した。

『お、おばあちゃん！？』

なんと辰哉君のおばあちゃんが座っていたのだ。

やっぱりこの女の人は辰哉君のお姉さんなんだ。

じゃあどうして辰哉君は一人っ子だなんて、

『えおばあちゃん！？この子たちと知り合いなの！？』

『ええ、辰哉のお友達だからねえ。でもどうしてここに、』

『た、辰哉の！？』

辰哉君の名前が出るとお姉さんは視線を落として俯いた。

『ねえおばあちゃん、ふっかが急に学校辞めちゃったの、どこ行ったか知らない？』

『てか今までずっとここにいたの？俺ら毎日家行ってたのに、心配しただろ！』

辰哉君の居場所に近づいた今、我を忘れてたくさん質問を投げかけた。