Astilbe 3 (ページ16)

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『なんでまた来たの、』

あれから数日。

私たちは学校が終わると毎日辰哉君の病室に足を運んでいた。

土日なんて朝から晩までずっと一緒にいる。

学校を飛び出した私たちはあの後、校長室で正座させられ、先生たちにはこっぴどく叱られた。

停学は免れたものの、これから修了式まで毎日学校の掃除をすることになった。

『やだって言ったじゃん、』

「私たちだって辰哉君に会えないなんて嫌だもん。」

今日も相変わらずこんな調子。

私たちが病室に来てもいつも目を逸らしていて、笑顔なんて見せてくれない。

それでも私たちはめげずに病室へ来ている。

今日春香ちゃんと渡辺君はおばあちゃんの所に寄ってからくるから、今病室には二人きり。

「どうして嫌なの？」

『だから、それは』

と、その時。

辰哉君が咄嗟に口を押さえると体を丸めた。

「辰哉君！？」

辰哉君の元に近寄って顔を覗き込んだ。

『う、』

「苦しい？気持ち悪い？吐きそう？」

背中をさすってあげるも辰哉君は言葉さえ発することができない様子で。

一瞬顔を歪めたかと思うとそのまま嘔吐してしまった。

でも吐いたのは胃液だけ。

それはここ最近、辰哉君がなにも食べられていないことを意味していた。

辰哉君の指の隙間からそれがポタポタと私の制服に落ちた。