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Aちゃんは俺にバックハグされながら
テーブルの上に置かれているお菓子に手を伸ばし
不規則に口に運んでいく
嬉しそうに食べるAちゃんを俺は微笑ましく見てて
またすぐに一本と手を伸ばすから
そのままAちゃんの口元に行くかと思ったんだけど
「光輝くん食べる？おいしいよ」
その手を止めて俺を見るから
んーなんて小さく声を出しつつ
チラッと箱を見ると
カカオがデカデカと描かれてて
見たことのないデザイン。
これ、ぜーったい新作じゃんね。
『えー食べる！ちょーだい？』
細長いあのお菓子。
これは…
あーんって食べさせてくれるとか
2人で両端をくわえてちょーっとずつ近づいちゃったりとか
で、そのままいい感じに…なんて
これガチで期待できんじゃね？
そんな下心を持ちながら待っていると
目の前に現れたのは
Aちゃんの顔でも手でもなくて袋の姿で
それを「はい。どーぞ」と俺に渡そうとしてくるAちゃん
『な・ん・で！！』
「…へ？」
ぶうっと剥れながら声をあげ袋を受け取らない俺に
不思議そうな顔を向けてくる
もー袋ごと渡すとか一番ない！！
俺はもっとAちゃんとイチャイチャしたいの！
俺の気持ちには気づかず
自分の手と俺の顔を交互に見てんの
あーもういい！
Aちゃんからしてくれないなら俺からするもんね！！
そう思いAちゃんが手に持ってる袋から1本お菓子を手に取ると
自分の口にカカオがない方を含み
『ん！』
Aちゃんにもう片方の端を口に含むように
ジェスチャーで促す
「食べろって？」
『(ん、ん、)』
なんでだろ？って顔してるけど
そんなの今だけだかんね！
言われた通りカカオのついた側を口に含んだAちゃん
お互い含んだお菓子の両端
Aちゃんは全然食べようとしないから
俺からすこーしずつ食べて近づき
あと残り数センチと言ったところで
Aちゃんの首に手を回して
お菓子を全て口内に入れ込んで
そのままAちゃんの下唇も一緒に、ね？
室内に響く2人のリップ音
もう夢中になっちゃって
ポッキーのかけらなんてどこにもないのに
ほろ苦い味だけが残って
いつの間にかAちゃんの腕は求めるように俺の肩に回されていた
『欲しくなっちゃった？』
「んっ」
『じゃ、もう一本食べよっか。
今度はAちゃんからね』
袋から最後の1本取り出して
彼女の口に近づけて
そうしてお菓子が空になる頃には
部屋中が甘い甘い雰囲気に包まれていた。
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作者名：Soda | 作成日時：2023年10月9日 21時
