ラナンキュラス5 (ページ5)

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『ん、じゃあ日程決めたら連絡するね。はーい、じゃねー』

電話を終えてテーブルにスマホを置くと
ママもじーちゃんたちもAちゃんを連れてくのを快くOKしてくれたってのに
ムッとした表情で俺を見てくるAちゃん

『なに？怒ってんの？』

「怒ってる。
　勝手にあんな…」

『嫌だった？俺と実家帰るの？』

「嫌じゃないよ？けど光輝くんのお母さんに迷惑かけちゃうし
　それにお正月は家族で過ごすものでしょ？
　私はいいから一人で帰って？」

何それ。
それじゃAちゃんは？
一人で過ごすってこと？
そんなの絶対させないし。

『Aちゃんを一人にさせるヤダかんね？
　一人にさせるくらいなら俺も帰らないから』

「私、帰らないなんて一言も…」

『ねぇ。俺が気づかないとでも思った？
　Aちゃんが遠慮して実家に帰らないってこと
　俺に言わないようにしてたこと。』

「…」

『お願いだからさ、俺に遠慮しないで？ね。』

下を向いちゃったAちゃんに近づいて
ほら、ぎゅーって言いながら抱きしめる

「ごめん…」

『ごめんじゃなくて、ありがとう。でしょ？
　ママたちAちゃんがくるの楽しみしてるんだから』

あやす様にゆらゆら揺れる俺達
ねぇ、何度も伝えてるけど
俺にとってAちゃんは本当に本当に大事な人なんだよ？

「…光輝くん、ありがとう」

『んふふ。どういたしまして！』

それからあっという間に年は明け
俺の実家に帰って過ごすお正月

キッチンに並んでるAちゃんとママが仲良すぎて
ママに嫉妬しそうになったし

じーちゃん達もAちゃんに甘々だったかんね？
孫の俺より可愛がってたし！！

そして

“来年はAちゃんと家族になってたらいいわね”って
ママから言われたことは今は内緒。

「お世話になりました」

「もーそんなにかしこまらないで？
　いつでも来ていいのよ？
　光輝がいなくても大歓迎！」

「はい！」

『ねーえ！！！
　Aちゃんもママも酷い！！』

俺の実家からの2人の住む家への道のり
手を繋いで歩いてく

「光輝くん」

『んー？』

「ありがとね」

『どういたしまして！
　来年もさ、一緒に行く？笑』

「そうだね。行けたらいいな。」

そう言って
繋がれた手に力籠った。