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少し薄暗い部屋
2人でソファーに座って映画を見ながらゆっくり過ごしてると
鳴り響いたAちゃんのスマホ
「あ、お母さんだ。ちょっと出てもいい？」
『ん、いいよー。止めるわ』
リモコンを手に一時停止ボタンを押すと
心地よい重さが肩から消え少しだけ俺から距離を取ると
スマホを片手に話し始めたAちゃん
多分だけどいつ帰ってくるの？って感じのことを話してるみたい。
もうすぐ年末だし俺も連絡していつ帰るか決めないとなぁ
なんて考えているとちょっと状況が変わったっぽい声
「え？！ あ、そうなんだ。うん、私は大丈夫。
うん。うん。せっかくだし行きなよ。」
ん？せっかくだし行きなよって？
なになに？
なんか気になる感じじゃん！
終わったら聞いてみよっと
「いいって。2人で楽しんできて？
ん、ちゃんと連絡するから。はーい。」
それから数分もせずに終わった電話
はぁどうしよ。って無意識に言葉を吐き出してて
伺うようにAちゃんを見ると
バチっと目が合う。なんかちょっと困ってる感じ？
『どしたの？』
「んーあーちょっとね…」
言おうか言わないか迷ってるみたい。
離れてしまった距離を戻すように
静かに腰に手を回して引き寄せて
巻き戻したみたいに同じ体制になって再生ボタンを押す
こういう時は急かさずに待つのがいいからね。
それから暫くしてエンドロールなると
ずっと黙っていたAちゃんが口を開いた
「光輝くん、あのさ」
『んー？』
ほらね。待ってて正解でしょ？
「お正月いつから実家帰る？」
『え？んーまだ決めてない！』
「そっか…」
俺の返事に考え込むAちゃん
帰る日決まったら俺、速攻でAちゃんに話すしね？
でもでも、わざわざ聞いてきたってことは
んー。さっきの電話の感じだと…
あ！もしかして、Aちゃんは帰らない感じ？
じゃないとこんなこと聞いてこないじゃん？
絶対そうだよね？！
だったら…
いいこと思いついたと
自分のスマホを手に取り
アドレス帳から探し出したのは「ママ」で
すぐに通話ボタンを押す
『あ、ママ？光輝！
あのさ、お正月Aちゃんも一緒に家に連れて行ってもいい？』
「え？！ ちょっ…光輝くん！！」
俺の言葉を聞いて慌てだすAちゃん。
もー遠慮なんていらないのに！
だってAちゃんとママ、普通に連絡取り合ってるし
なんならママ、Aちゃんの大好きだかんね？
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作者名：Soda | 作成日時：2023年10月9日 21時
