ラナンキュラス5 (ページ2)

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「光輝くん着いたよ？歩ける？」

『んっ、だいじょぶ…』

タクシーから降りてふらつく身体を支えられる

「ああ、もう危ないから捕まって？」

もどかしかった数十分のタクシーでの時間
Aちゃんのさっきの言葉で胸がいっぱいで
幸せな気分に包まれながら目を瞑ってたら
ちょっとだけ良くなった頭痛

運転手さんにお礼をいうAちゃんの声と
俺の腰に回される細い腕
頑張れば一人で歩けるはずだけど
離れたくないからこのまま甘えるんだ

家の目の前で取り出されたキーは
光に照らされてキラッと光り
鍵穴に入ればガチャっと音を立てて
広がる2人だけの空間

靴を脱ごうとするAちゃんを
そのまま胸に閉じ込める

「ちょっ…光輝…くん？」

俺の名前を呼ぶ彼女の声に
うんうんと喜びを噛み締めながら頷く俺

『やっと、やっと2人きりになれた…』

「ん、そうだね。」

Aちゃんの回された腕に力が籠る
同じ思いだったんだもんね？

「頭痛いのどう？」

『Aちゃんのおかげでちょっとだけ良くなった』

「そっか」

何も話さずただただ抱きしめ合う
それだけでも幸せだけど
やっと面と向かって伝えられるんだから
伝えなきゃ

『Aちゃん』

「んー？」

『おめでと。たくさんたくさん頑張ったね』

「光輝くんが支えてくれて、信じてくれたお陰だよ？
　だから頑張れたの。
　いつもありがとう。」

大好きって小さい声でぼそっと言うAちゃん
恥ずかしがり屋だね

『へへっ。俺のが大好きだし？
　誰にも負けないかんね？』

俺の自慢のAちゃんだもんね！って
へらっと笑うとAちゃんも嬉しそうに笑うんだ

「ね、光輝くん」

『んー。』

あれ？これはおねだりさんかな？
パチパチと瞼を動かして
ほら言わないとしてあげないって
キョトンとした目線をやる

「もう！わかってるくせに」

『えーわかんない。
　ちゃんと伝えて？』

「 …キス。まだしてな…っ」

言わせたい。
そう思ったはずなのに
キスを強請る顔が可愛すぎて我慢できなくて
チュッチュッて繰り返し何度も。
ああ、ほんと幸せっ

唇を離して目を見つめて

『もっとちゅーする？』

そう聞けば
ぎゅーっと俺のワイシャツを握りしめて

「んっ…ここじゃやっ…」

その言葉に手を引いて
2人きりの空間へ…ね。