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『ただいま』
仕事を終えていつも通り真っ暗な家に帰ると
俺の声だけが響き渡る
田中さんから貰ったカフェオレは
思った以上にダメージを与えてきて
色々思い出しちゃって結局あれから
仕事にならなくなってしまった。
シャワーだけで済まし
今日も夜ご飯はいいやと早々に布団に入る
不安な気分を払拭したくて抱き枕にギュッと抱きつくと
いないはずなのにAさんの匂いがした気がして
ちょっとだけ泣きそうになった。
『Aさん…』
怖くて見られなかったスマホを恐る恐る見ても
相変わらず連絡はなくてもう挫けてしまいそう。
元々一方通行だったのかもしれない。
好きって言ってくれたのも
愛しそうに俺のことを見てくれてるのも
この前会いたいって俺に会いに来てくれたのも
全部全部嘘だったのかな？
俺が勝手に良いふうに解釈してただけなの？
もしかしてこのまま別れるなんてことになっちゃうのかな…
『あー！！だめだ！考えるな俺！！』
一人になると色々頭で考えすぎちゃうし
今はどうしたってプラス方向に考えることなんて出来ない
モヤモヤした気持ちを抱えながらギューと目を瞑っても
なかなか寝付くことは出来なくて
いつの間にか朝を迎えていた。
それから数日
家に帰ると余計なことまで考えちゃうから残って仕事をしていると
今週頭から北海道へ行っていた元木さんが丁度出張から戻ってきて
俺の顔を見るなり怪訝そうな顔を浮かべながら真っ直ぐ向かってくる
「おい黒田」
『は、はい！』
うわっ俺なんかしちゃったと伺うような目で
元木さんを見るとまじまじと俺の顔を見てくる。
え？なんかすげー怖いんだけどっ
「…お前さぁ、寝てねーだろ。すんげークマ」
『い、いや、そんなこと…「嘘つくんじゃねーよ！」
こっわー。
なんでそんなに怒ってんの？
今の元木さんならあの田中さんにも勝てそうなんだけど
「お前、営業の仕事舐めてんだろ？
体力勝負なのわかってんだろ？
なのになんだそのツラ。」
『すいません…』
とりあえず謝ろう。
よくわかんないけど謝るしかない。
そう思ってすみませんと言うと
でっかいため息をつく元木さん。
なんか俺、みんなにため息ばっかつかれてるんだけど？
「行くぞ？」
『え？どこに？』
「どこにじゃねーよ！飯だよ！飯！」
断れる状況じゃなくて仕方なく帰る支度を始めた
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作者名：Soda | 作成日時：2023年2月5日 15時
