ラナンキュラス3 (ページ39)

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そのままべったり背中にくっついてたんだけど
なんかいい匂いするし癒されるなぁなんて
幸せな気分に浸ってる俺を全然気にする様子もなく
化粧ポーチを漁るAちゃん

少しは構ってくれても良くない？と思って覗き込むと
2本リップを取り出してジッと見てる

「んーどうしよ…」

『どっちにしようか迷ってる感じ？』

顔を覗き込むように聞いてみると
うんと頷くAちゃん

『俺が選んでもいい？』

「そうだね。お願いしようかな」

そうとなったら真剣に見ないとと
リップとAちゃんを交互に見て
俺が選んだのはちょっと赤みが強めのリップ

せっかくだし俺がAちゃんに塗っちゃおっかな？
そう思ってAちゃんの手からリップを取ると
こっち向いて？と言って俺の方に体を向かせる

蓋をとってリップチップをAちゃんの唇にそっと乗せると
左右に優しく動かして色を乗せていく

『少し上向いて？』

「ん、これでいい？」

『おっけ』

Aちゃんの顎の下に指を置いて固定させる
はみださないように慎重に慎重にね

「ふふ、真剣だね？」

『もちろん！だって綺麗に塗りたいんだもん』

「ありがと。
　ね、光輝くん見てて思ったんだけど
　なんか塗るの慣れてない？笑」

『慣れてないっ！
Aちゃんのこと見てて覚えたの！』

Aちゃんがおしゃべりしてくるから
集中できなくなっちゃって終わるまで喋んないで！と言って
頬を膨らませるとふふっと笑うAちゃん

リップを塗り終えて蓋を閉めると
顎の下に置いていた手を離す

改めてみると唇に乗った色は綺麗に形取られてて
俺的にはかなり上手くいったと思うんだよね！

早速Aちゃんを鏡の方に向かせて
出来栄えを確認してもらう

『はい、鏡見て？どう？いい感じ？』

「ん、上手。光輝くんが選んだ色に服もあってていいね。
　こっちにしてもらって良かった！」

『んふふ。俺、Aちゃんのことよーく見てるからね』

「ほんとよく見てくれるてるよね。」

ありがと！と言って俺の方を向き直って笑顔を見せてくれるAちゃん
なんかこんな些細なことでも幸せだなって思えるんだよね。