ラナンキュラス (ページ41)

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「今日はさっさと上がれよー」

『分かりました！』

営業から戻ると一緒に回ってた先輩から
早く帰れと促され返事をする
久々に定時前に戻ってこれたから
残ってる仕事を片付けてさっさと帰ろーっと

席に着くと目の前で黙々と仕事をしているAさん
少し前に“用事がないなら見ないで？”なんて言われたけど
やっぱ好きな人って目で追っちゃうじゃん？
今日は早く上がる予定だからAさんをご飯に誘ってみようかな！

「お疲れ様でしたー」

定時も過ぎキリが良くなったから
俺も帰ろうと準備をしていていると
Aさんの声が聞こえる
え？もう？いつも俺より遅いのに？
慌てて準備してAさんの後を追う

エレベーターホールに着くと
ちょうどAさんが乗り込む所で
待ってーと言いながらギリギリで滑り込んだ

『ぶね、間に合った…』

「あ、黒田くんか。お疲れ」

『お疲れ様です！もーA先輩今日早いんすもん！』

「何かあった？」

Aさんと俺しかいないから誘うなら今がチャンス！

『ご飯一緒にどうかな？と思ったんで。』

「あーごめん。今日は先約あるんだ」

えーマジかよ。約束あるんじゃ仕方ないかー
よし！ここは次の約束を取り付けないと！

『じゃ、じゃあ金曜！金曜どうですか？』

「金曜かー。ん、大丈夫！」

今日はダメだったけど
約束を取り付けたから、俺、あと2日頑張れる！
これだけでも十分嬉しいけど
Aさんが続けた言葉からはさらに嬉しい事が

「実はさ、私も黒田くんのこと
　ご飯に誘おうかなって思ってたんだよね」

え？！そうなの？
なぁーんだじゃあ待ってれば良かったかも！
いつも俺から誘ってたからAさんから誘われたことなかったし

『えー、もっと気軽に誘ってくれていいんすよ？
　俺、A先輩からの誘いなら他の用事蹴ってでも行くんで！！』

「それはどうかと思うけど？笑」

エルダー解除になってから前より話す機会減ったしね
何気ないやりとりだけでも幸せだよ。俺。
折角の幸せに浸っていると直ぐに1Fについて
ロビーでAさんと別れた

この時の俺は浮かれてて
Aさんと離れ離れになる
話をされるなんて思っても見なかったんだ