ラナンキュラス (ページ32)

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『すみません。乗せてもらっちゃって』

「いーって！これから戻るとこだったし」

ニカっと笑って言った元木さんが
その後“黒田と2人で話したいこともあったし？”なんて
続けるからちょっとだけ警戒しちゃう

「んだよ、そんな警戒すんなって！」

『いや、警戒しますよ、流石に…』

「まーそうだよな！じゃあ単刀直入に聞くけど…」

お前Aのこと好きだろ？と元木さんの一言に
思わず顔に出しちゃう俺

「やっぱな笑しかもうち受けたとからっしょ？
　俺さ、黒田の面接の時Aとのこと、俺たまたま見てたわけ」

まぁ他にもわかる要素たくさんあったけどなー
この前の飲み会もそうだし、今の反応もわかりやすいし？と元木さん
けど元木さんの聞いてきた意図が全然わかんない

『なんでそんなこと聞くんですか？』

「あ？なんでって…Aは俺にとって大事な奴だからさ」

ちょっと遠い目をしてる元木さん
元木さんってAさんのこと好きなんだって
なんとなく気づいてしまう
けど俺は負けたくないし、負けるつもりもない

『俺、A先輩のこと好きですよ！真剣です！』

迷いなく俺は俺の気持ちを元木さんに伝えると

「…そっか、なら俺は応援する」

え？なんで？と想定外の答えに驚く俺
当然、俺も好きなんだけどとか、お前には譲らねぇとか
言われると思ってたのに…
もしかして元木さん自分の気持ちに気づいてない？

「お前さー百面相してっぞ？」

って笑っていう元木さん

『あの、こんなこと聞くのなんですけど…
　元木さんAさんのこと…』

恋愛的な意味で好きなんんですか？と尋ねる
なんかフェアじゃないの嫌だなって
もしかしたらかなり不利なことしてるかもだけど
単刀直入に元木さんに聞いてみると意外な答えが返ってくる

「俺、告白する前に振られてっから。
　とにかくAと俺は友達ってこと」

だから安心しろよ！今は恋愛的な意味で好きなわけじゃねーからと
元木さんが言ったところで丁度会社に着いた

「お、それAに渡すんだろー」

『そうですよ。』

「あいつここのどら焼き好きだから喜ぶぜ
　っていちご味あるじゃん。俺好きなんだよねー」

『食べます？』

袋から取り出し渡すと悪りぃな！と言いながらも
嬉しそうに受け取る元木さん

「ほら、さっさとAんとこ行けよ」

元木さん言われて離れようとしたけど
どうしても伝えたくて

『俺、頑張りますから！』

と声を上げると早く行けよ！と俺を追い払った