ラナンキュラス (ページ28)

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「黒田くん、私が過去に作った見積書。
　これを参考に新商品の見積してみて？
　いくらで何個売れれば会社にどれくらいの利益が出るのか
　あとはお客さんがこの商品ならこの価格までなら出せるとか
　意識しながらやってみてね！」

『分かりましたA先輩！』

資料を受け取るとすぐに俺から目線を外し机に向かうAさん
もうすぐ新商品の営業が始まるから資料作りで忙しそう
あ、Aさんのコーヒー冷めてるじゃん…
見積り作る前に入れてこようかなー

『A先輩コーヒーどうぞ！』

「黒田くんありがとう！丁度飲みたいなって思ってたんだー」

俺からコーヒーを受け取ると嬉しそうに笑うAさん
ブラック飲めないの知ってるから
ちゃーんと砂糖とミルクも入れたもんねー

“甘くて美味しい“って
飲んだ後小声で言ったの俺、聞き逃さなかったかんね！

俺も仕事しようと渡された資料を手に取ると
所々に付箋が貼ってあるし書き込みもしてある
仕事に情熱持っててかっこいいな！会社の先輩としても尊敬できるなって

俺もいつかAさんのような人になれるように
Aさんから言われたことを頭に置きながら
見積り作りに手をつけた

『A先輩、見積り出来ました！』

考えに考えて作った俺の初見積りが出来て
相変わらず資料作りに没頭しているAさんに声をかける

「出来た？じゃあ、確認するね」

俺のパソコン画面を見るために
椅子ごと体を近づけてきたAさん
フワッといい香りがして色々ヤバい

Aさんは真剣に画面をみてるけど
俺の頭の中はAさんのことで頭がいっぱいで
“まつ毛長いな“とか“唇柔らかそうだな“とかそんなことばっか

「黒田くんここなんだけど…」

画面を指差しながら俺の顔を見たAさん
思った以上に距離が近くてすぐ横にある顔

「あ、ごめんね！」

目があった瞬間すぐさま少し距離を取ったAさんを
追っていると少しだけ顔が赤い

「で、ここなんだけど…」

必死に隠して話を続けるAさんが可愛くて
そんな態度されたら俺単純だから期待しちゃうけどいいよね？