ラナンキュラス (ページ3)

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彼女と出会ってから1ヶ月が過ぎようとしていた
大学4年にもなると学校に行く機会もめっきり減り
みんな就活とバイトで大忙しだ

今日は必修科目があり久々に授業を受けるため登校した
教室の入りお気に入りの席にドカッと座るとスマホを手にする
最近癖になっているメールボックスの更新ボタン連打したけれど
botですか？と問いかけたくなるくらい見た
“新着メールはありません”の文字

『あー！もー！！！』

「何してんの？黒田」

頭を抱える俺を冷めた目で見ながら
当然のように隣に座る友達の渉

『ねぇ渉聞いて！！』

「“メール来ないんだけど！“でしょ？」

『え？なんでわかんの？』

まだ言ってないのに正解を当てられて目を丸くする俺に
“え？自覚ないん？ガチか…”なんて呆れた顔をする渉

「最近それしか言わないじゃん」

『だって待ってるんだもん！俺の人生がかかってんの！』

俺が首を長くして待ってるのは
彼女がいる会社の面接結果の通知
係の人からは“1ヶ月後くらいに連絡します“と聞いていて
まだ1ヶ月経たないのに先週からずっとソワソワしてる

「そういうのはさ、気にしないと来るっていうじゃん？」

『そんなの無理！気になるじゃん！』

「…じゃあさ、俺が押してみる？更新ボタン」

少し間があり言われた渉の言葉に
なぜかそれもありか…なんて思って
握りしめていたスマホを渡す
平然とした顔で渉が更新ボタンを押すと
“新着メール1件”の文字

「ほらね」

なんてドヤ顔をする渉をよそに急に届いたメールにドキドキしてきて
“ねぇ怖いからどこから来たメールか見て？”とお願いする
仕方ねぇなーと言いながらタップする音を目を瞑りながら聞いていると

「お待ちかねのやつだわ」

渉の声に目を開けて
渡されたスマホを恐る恐る受け取った