ラナンキュラス (ページ1)

今日:61 hit、昨日:59 hit、合計:83,175 hit

1 ページ1

真新しいリクルートスーツに身を包んだ学生が
街中のビルに吸い込まれるこの季節
大学4年の俺もこの中の一人で
今日は第一志望の会社の面接だった

“やっば！遅刻する！！”

指定された時間まで15分切った所でホームへ滑り込む列車
ドアが開いた瞬間飛び出るように列車から降り
予め手に持ったスマホを改札でかざすと
階段を駆け上り目的の会社へ向かい全速力で走る

早めに家を出たはずなのに途中で非常停止ボタンが押されたとかで
電車が遅延して余裕を持って着くはずがギリギリ所じゃない状況

5分ほど走った所で会社に到着しロビーを見渡すと
“採用面接会場は11Fです”の文字
4台あるエレベーターはどれもすぐには来なそうだし
流石に階段で上がるにもどうかという距離で
“早く来い！”と気持ちばかり焦る

「君、面接受けにきた学生さん？」

トントンと肩を叩かれ振り返ると
オフィスカジュアルな服装に身を包んだ女の人
首から下げられている名札には
“案内係 A”と書かれていた

『あ、はい。そうです。』

「左奥のエレベーターは11階に直通だから大丈夫ですよ」

“ほら、来た“と階を表す表示を見て
微笑んだ彼女に俺は目を奪われたんだ