お前なんか！【志麻】 (ページ19)

今日:4 hit、昨日:2 hit、合計:16,626 hit

⑱ ページ19

. 志麻side

放課後、今こうやって2人だけでAと話せてることに嬉しさを感じてる俺がいた

今日1日、あんまり気分が良くなかった

それもうらたさんのせいでもあるし、それに対して自分が何も出来てなかったことも含まれてた

うらたさんが今日、先生に勉強教えてもらってるんだと分かって俺は今しかないと思った

いつも先に帰る坂田や、ほぼ毎日のように呼び出しをされるセンラに違って、俺とうらたさんはよく一緒に帰ってたもんだから、うらたさんがいないとなるとラッキーだ

……そうやって、好きな人を理由に大事な友達がいないことをラッキーだと思う俺自身が憎らしい

相変わらず、Aは鈍感なのかポカーンとしてる

『えぇ、…それだけ？』

「それだけって？他に何か話したい？」

『いや……別に…なんていうか、2人だけって新鮮すぎて…』

「いつも休みの日一緒にゲームしてるやん？それは大丈夫なのかってw」

『それは何故か大丈夫』

「なんでだよ」

いつもお互い変なあだ名で呼びあったり、お互い馬鹿にしたりを日常茶飯事のように繰り返してるために、こうやってまともに話しにくい

「そろそろ帰ろうぜ、ここにいても仕方ねーよ」

『それもそうだね…』

俺らは校門を出て、自宅に向かって歩いていった

もちろん、それなりの距離を保ってはいるけど、隣にAがいるせいで俺の心臓がバクバクいってる

「……あのさ」

お互い何か言いたげなのに言わないこの沈黙を破った俺は、思いって話しかけた

こんなに緊張したことなんかほとんどない

『……なに？』

「……お前って…彼氏できたことあるっけ」

『……は？』

よりによって俺何聞いてんだ！！

話す話題が見つからないからって思いっきり地雷踏んだ気が……

『いや、え？…そういう質問か…』

「え？」

あまりにも驚いて焦りを隠せないA

『なんか急すぎてびっくり。ていうか、それ聞いて何になるのさ？』

「え、気になるから聞いてるんやけど」

『今まで1人も出来たことないっていう悲しみの事実を私の口から発さないと？』

「思いっきり言ってるやんけ」

『口が滑った』

俺の馬鹿な質問が、かえって良い雰囲気になった感じがした

いつもの俺らな気がする

『ていうか、あんたこそどうなのよ？』

「えー俺もないけど？」

『嘘つけ！お前モテてるくせに1人や2人彼女いるでしょ！』

「いや2人いたらダメだろw」

俺がモテてるかは詳しくは知らないけど、本当に今の今まで彼女はできたことない