九夜目 ページ9
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そんな中、宇都宮君から連絡がきた。
『島男のことについて話したいことがあるから会えないか』
勿論あたしはその話を承諾し、週末 に待ち合わせをした。
当日。
宇都宮君と合流した後、どこか喋れるところへ移動しようと近くのファミレスへ入った。
適当に飲み物を注文したところで宇都宮君がゆっくりと話を切り出す。
「······実はな、8000メートルぐらいのとこで島男の遺体を見つけたんよ、」
登山で消息不明になった人の遺体は見つからないことが多い。
それを知っていたからあたしは驚いた。
「んで島男な、手に手記持ったまま死んでたんよ。その手記にな、俺らのために、狂気山脈で生き残るためのヒントを、書き残してっ、くれとって、」
宇都宮君の顔はもう大分歪んでいて、目には涙が浮かんでた。
「アイツっ、手、ボロボロでなっ…。周りに誰もおらんし、アイツ、の、最期、多分一人やったんよ、···最期の最期まで、一人で頑張ってん……次に俺が来るって、信じててん、」
そこまで言った時、宇都宮君の目からはもう涙が溢れてきた。
宇都宮君は必死で拭うけど、拭っても拭っても涙はポロポロと零れ止まることを知らない。
私はただ黙って宇都宮君がまた話し始めるのを待った。
「っ…あかんわ、ほんまにごめん。今日、ここにAちゃん呼んだんわ、んなことやなくてっ、」
しゃくりあげながらも宇都宮君は今日あたしを呼んだ理由を話そうとしてくれる。
ただ全然検討がつかない。
行く前に島男に会ったし、言い残すことはないくらいには話したつもりだ。
……後悔がないと言ったら嘘にはなるが
それを思い出してまた勝手に落ち込んでいると宇都宮君が話し始めた。
「俺さ、あんまAちゃんと話したことないけど、Aちゃんが島男のこと好きなのは見てて分かってたんや」
宇都宮君の口から出た言葉は予想外のことだった。
高校の頃なんて島男とはほとんど喋っていなかった。
それに自分は顔にも態度にも出にくい方だと思う。
なのにバレていたなんて
人のことよく見てるんだなぁと思う。
だから宇都宮君が次に言うことは予想がついた。
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終わり
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茜(プロフ) - 紅蓮さん» 私はそのコメントが嬉しくて涙が止まりません…そう言ってもらえるのが書き手として一番嬉しいです！ (2020年5月23日 16時) (
レス) id: d2182e9bad (このIDを非表示/違反報告)
紅蓮 - 何回見ても涙が止まりません… (2020年5月23日 13時) (レス) id: 437f8327e7 (このIDを非表示/違反報告)
茜(プロフ) - 不透明さん» ありがとうございます！！拙い文だったかもしれませんが、当時の精一杯の気持ちで書いたので嬉しいです！ (2020年5月16日 16時) (レス) id: d2182e9bad (このIDを非表示/違反報告)
不透明(プロフ) - 島男の最後の「好きだった」のところでもう涙が止まりませんでした！夢主ちゃんの思いと島男の思いに感情移入しちゃって…ほんとに良かったです！！ (2020年5月16日 16時) (レス) id: 187d5f8a14 (このIDを非表示/違反報告)
茜(プロフ) - 鬱瀬さん» ありがとうございます！！そう言ってもらえると書いてよかったと思えます (2020年5月10日 15時) (レス) id: d2182e9bad (このIDを非表示/違反報告)
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