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立場上俺がリードする側だから、なんとなく阿部ちゃんより背が高かったらなぁとか考えた。
だって、そりゃ俺だって男だし、かっこいいとこ見せたいし。
でも、阿部ちゃんより、背が低くて良かったと思ったことがあった。
それは、ハットを被っていても顔が見えること。
これって阿部ちゃんより背高かったらそうはいかないんじゃない?
そんな新たな発見と目の前の阿部ちゃんにニヤニヤしていたらいつの間にかまたねの時間が近付いてきたみたい。
阿部ちゃんの家の近くまでタクシーで行って、
そこからは二人で降りて歩いた。
もちろん、手を繋いで。(俺が一方的に握って?)
阿部ちゃんは道中、何回か「ここまででいいよ」って言ったけど、
俺は折れなかったね。
結局阿部ちゃんのマンションの前まで来た。
「…はー、家着いちゃったね。阿部ちゃん」
「…着きましたねぇ」
「寂しくないの?」
「…なんで?」
「だって今日楽しかったじゃぁん」
「楽しかった、それは。すごく、」
「ふはっ! 良かった」
名残惜しげに手を離す。
阿部ちゃんも、名残惜しいと感じてくれてるのかな。
少しは俺のこと、意識したかな。
「じゃあね? 阿部ちゃん」
「ん、」
「また明日」
「…うん」
少し手を伸ばして、阿部ちゃんの頭に置く。
この手からでさえ、俺の心臓の音が伝わりそう。
「今日はありがと」
「…こっちこそ、ありがとう」
俺の手はさらり、と阿部ちゃんの髪を滑る。
その手はそのままポッケに突っ込んだ。
まだまだ、離れたくはないけど。
この心があったかいうちに帰ろう。
阿部ちゃんに背中を向けて、歩き出す。
「…ふっか!!」
急に名前を呼ばれて振り返る。
…なんだか漫画のような展開だな。
「今日は、ありがと。…その、…デート」
語尾の方は声がちっさくなっていった。
デートって、恥ずかしいなら言わなきゃいいのに。
けどそんな阿部ちゃんが可愛くて仕方ない。
「また行こうね! デート!」
それに反復するように返した。
…まーったく、俺をどこまでその気にさせれば気が済むの?
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このときの俺は、幸せ過ぎて、この先の出来事なんて全くもって予想もしてなかった。
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來杏(プロフ) - ゆゆさん» そう言って頂けて嬉しいです…! ぜひ! 好きになってください!(( (2020年11月7日 9時) (レス) id: 015fe807ef (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - ふかあべ感動しました!好きになりそうです。、 (2020年11月6日 17時) (レス) id: f5e7b9f158 (このIDを非表示/違反報告)
來杏(プロフ) - ぽちたつさん» 読んで下さりありがとうございます! たくさんキュンキュンして頂けたなら私はもう嬉しい限りです! ふっかさんと阿部ちゃん、初挑戦の二人でしたが世界観まで褒めて頂いてありがとうございます…! 次はどのCPになるんでしょう…笑 新作もぜひ、よろしくお願いします! (2020年9月21日 16時) (レス) id: 015fe807ef (このIDを非表示/違反報告)
來杏(プロフ) - めぐみみさん» 読んで下さりありがとうございます! もうふっかさんには最後まで爆イケでいてもらいましたっ! 阿部ちゃんも可愛く書けるよう試行錯誤しました笑 ぜひ!新作もお楽しみにしていてください^^* (2020年9月21日 16時) (レス) id: 015fe807ef (このIDを非表示/違反報告)
ぽちたつ(プロフ) - ありがとうございます。幸せな気持ちのラストで多幸感でいっぱいでございます。次はどのCPさんでどんな世界観か。。楽しみにお待ちします^_^いつも、癒しと萌えをありがとうございます。更新ご無理ございませんように。。 (2020年9月21日 13時) (レス) id: 8fa565a580 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:來杏 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/gen/tools/items.php#
作成日時:2020年8月5日 16時