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おもちゃ箱という宝箱 ページ30

✼̥୭*ˈ







「A、今日の飯なにー?」



『ん、今日はね____』






あれから10回は春を迎えた






その日々は長いようで短く、そして幸せだった




ゾムはもう私の身長を軽く越してしまった


柱に付けた傷がその成長を物語っている



幼い頃のたどたどしい口調は今じゃもう無くて、そのギザギザした歯をニヤリと覗かせながら笑う彼はフードを被っているものの表情は豊かになった



「じゃあいってくるな!」



そしてもう1つ変わったことと言えば






『うん、いってらっしゃい』






彼がよく外に出るようになった







もちろん変な意味じゃないと思うし、夕方にはかならず帰ってくる

心配じゃないと言えば嘘になるが護身術となる魔法はいくつも教えてる



それにあのナイフをくれた友人とも再開を果たしたらしい






《「あ、えっと、ロボロいいます、ゾムと昔よく一緒におった奴です」》


天、と書かれた紙を顔を隠すように付けた彼はゾムにあの緑の柄と綺麗な刃の模様のナイフを渡した人だという

彼も幼い頃にゾムが裏の組織に連れてかれるのと同時期に闇オークションで売り飛ばされ、そこを私と同じ魔女に買われて、今の今まで生きていたらしい



「Aさんええなぁうちの魔女とえらい違いやで」



「やろ?Aはええやつやからなぁ!」





聞き取りやすい声は人を集める雰囲気がある

だからこそ警戒心の強いゾムも友だちと呼ぶのだろう




一方ゾムとしかまともに話したことない私は









『ッあ、えと、ご、ご丁寧にど、どどうもッ…Aですッ』






吃りんごAさんになってしまっていたのはまだ記憶に新しい。忘れたい。







………






「A!ただいまッ!」



『あっおかえっ…ウムッ』


顔に飛び込んできたのは色とりどりの華が詰まった花束、淡いパステルカラーのそれは少々不格好で、きっとゾムが自分で作った花束なのだろう



広がる花の香りを受け止めてフードを取っているゾムが幼い頃から変わらない笑顔でこちらを見た



街の外れに大きな花畑があった


立ち入るのも躊躇するほど咲き誇っていた


街のこどもが作っていたものを真似した






ふわりと被せられたそれは花冠だった




「ッ…めっちゃ似合うなぁッ!」




少し大きくて横にズレてしまう花冠

照れくさそうにフードを被り直すゾムにありがとうと言えば



相変わらず幼くはにかむのだ









(散歩という名の大冒険)
(溢れるお土産、宝物)

青の人→←時の流れ、なんてそんなもの



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キリス(某教祖)(プロフ) - 感動しますたあああ (1月15日 16時) (レス) @page50 id: 62b7efaae2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 伏線が凄すぎる... (5月21日 22時) (レス) @page50 id: f98c154ca8 (このIDを非表示/違反報告)
イレイザー - すんげぇ好き (5月11日 7時) (レス) @page50 id: 3973b7c9c7 (このIDを非表示/違反報告)
ネギです。 - 夜中に見ました。もう凄く感動する話でした。 (2023年5月8日 1時) (レス) @page1 id: d88732d1b8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっきー(๑╹ω╹๑ ) - めっちゃ良いですね!! (2023年4月9日 17時) (レス) @page50 id: dd978d4aba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:惺月 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年7月27日 3時

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