54話「ただのサッカー好き少年との出会い」 ページ10
その後、琴平は持久力を鍛えるべく一人で河口湖周辺をジョギングした。
彼はもともと単独行動を好むので、この類のトレーニングは得意分野なのだ。
すると突然、
「！」
琴平の目の前にサッカーボールが飛んできた。
咄嗟に体の向きを変え、脚を振り上げて蹴り返す。
「へぇ〜。これくらいはできるようだね」
蹴り返されたボールを受け取ったのは、帽子を被った少年だった。
「……何奴じゃ。名を名乗れ」
「僕は無敵ヶ原富士丸。ただのサッカー好き少年さ」
口角を上げながら自己紹介をする無敵ヶ原。しかしその目は笑っていなかった。
「わしの目の前で『無敵』を名乗るなぞ身の程知らずなガキじゃ。逆に笑えてくるぞ」
片や琴平はいつもの表情──どこか見下すような笑みを浮かべる。
「……琴平Aさんだろ？有名な書道家にして、イナズマジャパンの」
「だとしたら何だと？」
「そんな怖い顔しないでよ」
無敵ヶ原は器用にボールを蹴り上げながらこう提案した。
「ちょっと僕とサッカーしてみない？」
「……上等じゃ。かかって来るが良いわ」
まずはボールを持った無敵ヶ原からスタート。
無敵ヶ原は身軽なフットワークで琴平をうまくかわしながらドリブルをする。
(なるほど。あくまでわしに動きを読ませないつもりか……)
彼の不規則な動きに惑わされまいと、ひとまずは彼の動きの本質を観察する琴平。
「あれぇ？どうしたの？全然攻めてこないじゃんか！」
消極的な動きをしている琴平の冷静さを、煽りで欠かせようとしているのも分かっている。
無敵ヶ原の動きは一見して無駄がないように見えるが、隙というものは必ずある。
「──せいッ！」
……そしてそれを見極め、我が物にすることこそ琴平の得意分野である。
「なんだって！？僕が取られるなんて……！」
琴平が力強く目を見開いたその瞬間、無敵ヶ原のボールは琴平の足元にとどまった。
その後も一進一退の攻防が続き、二人の実力は互角程度ということに落ち着いた。
「はぁ……ッ！小僧、お前の名前は覚えておくぞ……」
珍しく息を乱しながら語りかける琴平。
「イナズマジャパンにも、僕と渡り合うような奴がいたとはね」
無敵ヶ原は興味深そうに琴平を見る。
「琴平さん、"足に重りをつけているのに"よくここまで頑張ったね」
「ほう」
琴平は特訓のため足に重りをつけながらジョギングをしていた最中だったのだ。それを見破った無敵ヶ原に多少の驚きを示しつつ、
「ハンデを担うのもわしの器の大きさよ」
得意げに言った。
「また遊ぼうね」
無敵ヶ原はそれだけ言うとどこかへと去った。
55話「太陽のサタン」→←53話「琴平流・ディフェンダーの美学」
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いづう(プロフ) - ニーナさん» おわ〜〜〜ニーナちゃんだ〜〜！！読んでくれて感謝感激……。最初はこんなもんだけどだんだん性格の悪さが露呈してくるよ(笑) 坂野上可愛がってるのはある意味では伏線なんですよね……。 (2021年1月3日 22時) (
レス) id: d4f89da318 (このIDを非表示/違反報告)
ニーナ(プロフ) - こんにちは！いづうちゃんニーナだよ！ようやくここまで読めました。琴平さん良い性格してますね(^-^)人の不幸が好きという決して良いとは言えない性格だけど、積極的に人を傷つけないところとか坂野上君可愛がってるとことか良いですね…。 (2020年12月30日 11時) (レス) id: 48e524db4d (このIDを非表示/違反報告)
白銀の執行人(プロフ) - ぜひぜひ(*´∇`)ﾉ面白いですよ！オススメします！ (2018年11月13日 20時) (レス) id: 43da32bf0c (このIDを非表示/違反報告)
いづう(プロフ) - 白銀の執行人さん» いいですよね〜(*´∀｀*)ジョジョに関しては結構前に父の影響でちらっと触れてたんですよ〜。前と比べて成長したことだし、機会があればじっくり読みたいです！ (2018年11月13日 20時) (レス) id: a4beff7793 (このIDを非表示/違反報告)
白銀の執行人(プロフ) - やっぱり！ジョジョ好きなのですぐに分かりました！イナイレとジョジョ良いですよね！ (2018年11月13日 19時) (レス) id: 43da32bf0c (このIDを非表示/違反報告)
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