74話「全てはチームを守るため」 ページ30
その後もボールの奪い合いが続き、やがてボールは再びルシのものに。
「通しませんよ！」
等速で走るルシの前に立つ坂野上。
「ルシ、ターゲットロックオン」
その瞬間、ルシのスパイクから鋭利な刃が姿を現した。
「いかん！かわせ坂野上！！」
それを見ていた琴平が声を荒げるも、ルシは坂野上の横を高速で駆け抜けていった。
──スパイクの刃で坂野上の足を切りつけながら。
「……！？うああああッ！！」
あまりの速さに痛みの伝達が遅れたのか、その数秒後に坂野上は悶えながら倒れた。
当然、試合は一時中断される。
「坂野上、どうした！？」
急いで駆けつける稲森。坂野上の足には血が滲んでいた。
「この傷……」
「切られたみたいです……」
「切られた？」
鬼道と琴平も彼らに近寄る。
「坂野上、どうやら接触した時にスパイクで傷を負ったようです！」
「違う。あれは……」
琴平は苦い顔をしながら実況のアナウンスを否定する。
「俺、見ました！あいつのスパイクに刃物が仕込まれていたのを……」
「なんだって！？」
稲森は信じられない、といったように驚く。
「わしもこの目でしかと見かけたぞ。坊主の言っとることは潔白じゃ、疑う余地もない」
「敵は、そこまでするのか……」
ゴーグルに隠れた鬼道の目には、確かに憤りがこもっていただろう。
そんな鬼道を怪訝そうに見る稲森。
「鬼道さん……」
「行動を起こすべき時があるんだ。大切なものを守るためにはな……」
「でも、一体何が起きているんですか？」
鬼道は多くは語らず、険しい表情で稲森にこう言い放った。
「全てはチームを守るためだ」
続いて坂野上の方を向き、
「坂野上。お前の仇は俺たちが取る」
「待ってください！」
背を向ける鬼道に、坂野上が呼びかける。
「……俺に、やらせてください」
彼は真剣な眼差しで自身の続投を望んだ。
「ほ〜う？まだ続けるつもりか」
サタンは手当を受ける坂野上を嘲る。
「ルシ、いくらでも切る」
その背後ではルシが一切表情を変えずにこう呟くのであった。
「琴平さん！」
試合再開直前、坂野上が琴平を呼ぶ。
「あ？なんじゃ」
「お願いがあるんです！」
坂野上は琴平に近づき、こう囁く。
「作戦は……ゴニョゴニョ……」
それを聞いた琴平はその目を大きく見開く。
「んなっ！？そんなことがわしにできると思っとるのかぁ！？」
「あいつらの不正を暴くために、協力してください！」
まっすぐに頭を下げる坂野上に、
「……良かろうっ！！」
琴平は半ば投げやりに言った。
自分を慕う後輩のため、協力することに──。
75話「琴平と坂野上の作戦」→←73話「決戦型戦闘兵器『ルシ・ファノス』」
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いづう(プロフ) - ニーナさん» おわ〜〜〜ニーナちゃんだ〜〜！！読んでくれて感謝感激……。最初はこんなもんだけどだんだん性格の悪さが露呈してくるよ(笑) 坂野上可愛がってるのはある意味では伏線なんですよね……。 (2021年1月3日 22時) (
レス) id: d4f89da318 (このIDを非表示/違反報告)
ニーナ(プロフ) - こんにちは！いづうちゃんニーナだよ！ようやくここまで読めました。琴平さん良い性格してますね(^-^)人の不幸が好きという決して良いとは言えない性格だけど、積極的に人を傷つけないところとか坂野上君可愛がってるとことか良いですね…。 (2020年12月30日 11時) (レス) id: 48e524db4d (このIDを非表示/違反報告)
白銀の執行人(プロフ) - ぜひぜひ(*´∇`)ﾉ面白いですよ！オススメします！ (2018年11月13日 20時) (レス) id: 43da32bf0c (このIDを非表示/違反報告)
いづう(プロフ) - 白銀の執行人さん» いいですよね〜(*´∀｀*)ジョジョに関しては結構前に父の影響でちらっと触れてたんですよ〜。前と比べて成長したことだし、機会があればじっくり読みたいです！ (2018年11月13日 20時) (レス) id: a4beff7793 (このIDを非表示/違反報告)
白銀の執行人(プロフ) - やっぱり！ジョジョ好きなのですぐに分かりました！イナイレとジョジョ良いですよね！ (2018年11月13日 19時) (レス) id: 43da32bf0c (このIDを非表示/違反報告)
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