戦争経験者、ついでに見える。『ゲゲゲの謎』 (ページ4)

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2話ページ4

Aside

あれからどれだけ経っただろうか、

今、死の境を彷徨っているのか、はたまた地獄に落ちたのか、三途の川を渡っているのか、
天国なんかではないことはわかる。いけるはずもない。

何となく夢の中のような感覚に囚われている。
実際、今走馬灯を見ているような気がする。

先ほどから場面が切り替わってばかりだ。
戦時中の記憶、家族との記憶、学校、バイトの日々、そしてあの村の入り口。

思えば楽しいこともなけりゃ散々な人生だなと軽く思う。

今は、何が見えるだろう。

あの村の入り口が見える。

私が行った時には、狂骨が暴れていて、村は焼けていて、もうそれは入れるほどのものではなかった記憶がある。

なぜ、覚える価値もなさそうなこの記憶が最後なのだろうか。

そう思っていたらいきなり場面が変わった。

『なんだ、同じ場所､､､､？』

だが、先ほどのように村は燃えておらず、狂骨も暴れていない。
おそらく元の村の風景であろうものが描写された。

私はこの村の姿を見たことがないのに。

私の知らない山の中の温泉、お屋敷、島、駄菓子屋。

全てが細部まで綺麗に描写されている。

これは新手の地獄なのか？
そう感じながらも歩いていたら、強く首を上に引っ張られる感覚がした。

驚いてもがくが、体はそのまま空へ向かって行き、地面が見えた。

長い黒髪に大きなリボンでハーフアップにした、和服のよく似合う少女が、こちらに向かって手を振っていた。

誰だ。

そう発する前に、私の視界は闇に包まれた。

なぜだろう、なぜか分からないが、

忘れないで、

と言われた気がした。

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パチ､､､､､

見覚えのない天井が見えて、体の感覚があることから、結局私は生き延びたのだと感じた。

『生きたところで宛てもないのだから、苦しみの延長だな。笑えねぇよ。』

私が最後に感じた浮遊感はきっと運ばれたのだろう。ここはどこだろうか、病院なのだろうか。

とにかく、天井以外の情報を得よう。

そう思い起きあがろうとした、

が、

『ッッッッッッ！！！』

物凄い激痛が身体中に駆け巡った。
どうやら、あの村で負った怪我を、ほったらかしで治療しなかったのがまずいらしい。

とにかく、こんな怪我を負ったのにも関わらず動けていたのは死に際で何も感じなかっただけだったようだ。

その時、

スパンッ！

障子を開ける音が聞こえた。