戦争経験者、ついでに見える。『ゲゲゲの謎』 (ページ3)

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1話ページ3

Aside

私は戦争で家を失った。

それは随分前の話で、とっくに今は死にかけた放浪者だ。

戦後私は何の手当も受けられない、職も見つからず、ここ数年はバイトで食い繋いでいた。

あんな仕事受けなきゃよかった。

遡るは数ヶ月前、血液銀行やらなんやらが高値で仕事持ちかけて来たと思ったらある村への偵察？
なんかいっぱい“いるし”入ったところで、あれは､､､､何だっけな、狂骨？

文書でしか見たことのないものが暴れていて、ついでに左肩から脇腹まで大きな傷を負った。うっわ死ぬなこれ。と思って帰って来たらクソ痛ぶられて報酬なしで追い払われた。

それからというもの、なにかに疲れたんだろうな。昔から抜けない癖だ、諦め癖。

もうあとは身を任せようと、適当に生きた。

そして今、死の境を彷徨っている。

多分倒れた場所は、墓場。縁起が悪いことで。

まだ息してるし、目も見える、でも、私の周りに今か今かと待ち侘びている亡霊どもがうようよしてるあたりもう近い。

『はぁ、最後にタバコ吸いたい。』

そう呟いた。声は空虚に響く。

沈黙が流れた。そう思ったのも束の間、周りの亡霊どもがいきなり一筋の道を開け始める。

少し霞んできた視界で見たのは黒いスーツのズボン。

少し目線を上げた。そこにいたのは、

『､､､､､水木？』

私と同じように驚いた顔をした、髪の白い水木だった。

そして、その後ろに大勢憑いてる霊。

戦争は終わったのにまだそんなに憑けてるのかと呆れた。

水木「お、お前、戦時中、同じ班だった､､､､Aか､､､､？」

『覚えてるんだな。忘れてると､思ってた。』

てか覚えてるもんなんだな。てっきり忘れ去られてるもんだと。
別にそんな会話したわけでもないのに。

水木「お前、何でこんなところで倒れて､､､､！」

『あぁ〜､､､､すまん､､もう､､意識､､､､､と､､､ぶ､､､､。」

割とギリギリ保ってたからもうもたない。

水木すまん。死に際に立ち合わせてしまって。

すぐに､､､､忘れ､､､､て、、くれ、、、よ、、、。

そうして、私は意識を飛ばした。

最後、体の浮遊感を感じながら。