わらび餅を食べに行っただけなのに【鬼滅の刃】

＊わらび餅が24個 ページ36

＊NO SIDE


響く断末魔。


のたうち回る車両。


彼女が列車が倒れると気付くのに時間はかからなかった。


彼女はとっさに動き出す。


猪の彼も同じ行動をとったが、赤髪の彼が間に合っていなかった。


それもそうなのかもしれない。


先程、この列車の車掌に刺された脇腹を治療していないのは痛手だろう。


その内に揺れは治まったが、赤髪の彼が外に投げ出される。


そこに二人の隊士が駆け寄ってくる。


赤髪の彼の意識はある。
自分のことを心配すればいいものの、彼は他の乗客の心配をする。


「あの車掌さんを助けてくれ、伊之助。」


と、猪の彼に伝える。


その声は、決していつもの様に力強いとは言えない。


彼も一度は拒否していたが、親分だからという理由で助けに行く。


「助けた後、アイツの髪の毛全部毟っといてやる!!」
「そんなことしなくていいよ…」


まぁ、それを見ている彼女はいいぞもっとやれ、なんて思ってるんだけどね。


ク ソ ワ ロ タ(ｺﾞﾒﾝﾅｻｲ)


そして、それまで無言だった彼女も口を開く。


「まずは自分の心配をしろ馬鹿!」


と、潤んだ瞳で彼を見る。


その悲痛な声に、一瞬呆気にとられてしまう彼。


「俺は大丈夫です。だから、他の乗客の方を!」


そういう彼を背に彼女は、わかっている、と歩を進める。


「頭、冷やすついでだから。」


お前はツンデレだからもう冷えてるんじゃね。


そう思ってしまったが、まぁいいとしよう。


そして、赤髪の彼は少し安心したように呼吸を整え始めた。


＊

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