さっきぶりの再開 ページ3
Aside
桐谷「え、プロポーズされたの?伊沢さんに?」
『先生人聞きが悪いです』
マグカップに入っているハーブティーを飲みながら桐谷先生の方を見る。
桐谷「女の子に見えたのかね?ほら、A君ってどっちかって言うと女の子見たいじゃん?」
『プロポーズならもっとましな言葉が良かったです』
俺はそう言いながら飲みかけのマグカップに口をつける。
桐谷「僕からすれば可愛い孫をもらいに来た彼氏って感じだけど」
『あぁ、今年で定年でしたっけ?そろそろお孫さんも生まれるとか。良かったですね』
その言葉を残して俺は自分の席をたった。
桐谷先生のマシンガントークに付き合っている暇はない、評議会の書類も作って手術日も決めなきゃいけない。
けどその前にお腹が減った。
『俺ご飯食べてきます。書類はそこに置いといて下さい』
そう言って俺は自分の診察室を出た。
『で、なんで居るんですか?』
伊沢「運命だと思います!」
『最悪な運命ですね』
今、俺の目の前にはこの前診察に来た伊沢さんがいる。
定員さんが気を利かせたのか同じ席。
伊沢「今日ちょうど外の仕事だったので」
『普段は部屋の中でお仕事を?』
伊沢「興味持ってくれましたか!?」
食い気味に俺の方を見る伊沢さんにチラッと目がいく。
お世辞にも背が高いとは言えないが顔も良いし、スタイルもいい、それに声だって男の人って感じの声。
俺とは全く違う。
『………………医者として他人を観察するのは基本だと思うのですが』
伊沢「それもそっかぁ………」
『けれど気になりはします。なんで俺とそんなに一緒に働きたいのか』
そこからが地獄だった。
伊沢さんは俺の魅力がとか、一緒に働けたらとか色々言っている。
これはすぐに終わらないな、と思いつつ今日の午後から俺は休みを取っている事を思い出し桐谷先生にだけLINEして事情を話した。
仕事なんでって言って突き放せばいいのになんで聞いちゃうかなぁ……。
110人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:エリス | 作成日時:2023年7月8日 15時