S._1 ページ1
もうあまりはっきりとは覚えていない。
この10年いろんなことがあった。
今更嘆いて立ち止まろうと思わないが、この場所に来ると何となく感傷に浸ってしまう。
あの日あの時あの瞬間まで。
あたしたちは本気で2人で生きられると思っていた。
幼すぎた誓いはあっという間に砕け散ったけれど。
それでも、永遠を信じた。
一瞬、永遠を信じて疑わなかった。
隣で笑っていたあの子はどこに行っただろう。
今も笑えているのかな。
「ぐぁぁぁぁ!!」
…何。
怪物?
この時期にピッタリの幽霊でも出たか。
大人になる一歩手前のあたしはまだ好奇心が失せていなかった。
所々照らされている街灯に沿って叫び声の方へ足を向かわせる。
角を曲がり2つ目の路地。
覗き込んで見ればそこに。
「………!!」
声が出せなかった。
白い街灯の下あまりにも赤かった。
惨殺死体。
その上に跨る彼、もしくは彼女。
背格好は男に見えるが。
立ち去ろうと動かした足が何かに当たる。
これがいい音を響かせて。
咄嗟に隠れはしたものの、多分バレた。
腰は抜け足が竦む。
足音が徐々に近づいてくる。
早すぎる死に対しての覚悟をしなければならなかった。
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あっぷる(プロフ) - 遅くなりましたが初めて読ませていただきました。こんなに素敵で狂気的で美しい作品に初めて出会いました。繊細な言葉一つ一つが情景を恐ろしく想像させてくれる表現力、世界観には頭が上がりません。とても面白かったです。 (2020年5月1日 10時) (レス) id: 5a325cfe9e (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - 凜憧さん» 毎度ありがとうございます。名前を見なくても私の作品だと分かって頂くことは意識していたことでもありますので嬉しいです、グダグダでございましたがご愛読ありがとうございました。 (2019年8月27日 9時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
凜憧(プロフ) - 完結おめでとうございます。通知を見るより前に作品を見つけ、冒頭からカジャさんの作品かなあと思いました。表現も世界観も結末も、カジャさんらしく妖しい魅力でした。今回もすごく面白かったです、更新お疲れさまでした! (2019年8月26日 18時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
よーぐりゅ(プロフ) - カジャさん» あってます(( 認知あったなんて!笑ありがとうございます。こんなに素晴らしい作品なのになんで赤星にならないんでしょうか… 新作も楽しみにしてます!! (2019年8月25日 20時) (レス) id: c89cc366d1 (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - おずさん» ラストだけは!ラストだけは他の場面よりも頑張ったつもりでございます笑 私の語彙力ではサイコパスというものの表現が全然足りなかったですね…ご愛読ありがとうございました。 (2019年8月25日 18時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カジャ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kajya1734
作成日時:2019年8月1日 19時